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【BOOKS】『「理系」という生き方』

「理系」という生き方―理系白書2 (講談社文庫 ま 56-2)「理系」という生き方―理系白書2 (講談社文庫 ま 56-2)
(2007/12)
毎日新聞科学環境部





『理系白書』の続編。
理系院生の就職事情に関するブログを読んでいる人なら、目新しい情報はほぼ皆無であろうと思います。
しかもブログのほうがおもしろい。
出版業界衰退の一因は、ウェブ上の情報や知見に対して相対的に魅力が減ったからだと思わせます。

「理系院生ももっと多様なキャリアパスの模索を」という項目では、ケーススタディが羅列してあり、それぞれ少しずつ楽しめました。

やはり理系から金融に行く人は増えているようです。
ただ、これは2000年以降、不良債権問題が一段落してからの話らしく、バブル期もやはり理系の需要は高かったということがわかります。

「金融が札びら切って優秀な学生を奪っていく」という工学部教授の言葉は印象的でした。
本音なんでしょうね。
この教授自信は、ポスドクや院生の給与に関して権限を持たないので、ある意味で被害者の一人かもしれません。

ただ、「理系」とは言っても、ほとんどが工学系ということがわかります。
例示されていたのは、たとえば次のような人々。

 東大工学部→野村證券→カリヨン証券
 東大工学部→外資系証券会社→信販会社のCFO
 京大工学部→住友生命
 京大工学部→銀行→安田企業投資
 早大理工学部→三菱信託銀行

読んだ限り、バイオ・ライフサイエンス系からの金融は皆無。
いや、そもそもバイオ系の院生自体が登場していないのでは・・・
確か院生の半分近くを占めるメジャー分野のはずなのに。

げに恐ろしきかな、バイオの就職事情。


最後に、情けない事例を一つ引用。

京都大学理学部三年の田中さん(仮名)は、文系就職を考えている。
セミナーに参加したりOB訪問をした企業は、銀行、証券、メーカー、コンサルタントなど40~50社に上る。
高校時代の化学の教師に影響され、ノーベル賞受賞者を輩出してきた京都大に進んだ。だが、入学してみて「成果が出るまで10年、20年かかることもある。僕にはそこまでやりとげられるだろうか」と迷いが生まれた。
より広い社会に関心が移り、就職活動で企業を回るうち、世界を相手に仕事ができる総合商社に魅力を感じ始めた。
「理系はビジネスに疎い」という世間の見方は今も根強い。「履歴書に『文系』と書きたくなるときも確かにある。でも入社すれば、他人と違った経歴はきっと強みになるはずです」と田中さん。就職活動ではその点をしっかりとアピールするつもりだ。



うわー・・・

なんだかいろんな意味で自分に似ていて嫌ですね。

目の前にこんな人が現れたら説教してしまいそうです。

しかしこの人、本当にOB訪問したんでしょうか?
私も何十人とOBに会いましたけど、理系だから不利と感じたことはただの一度もありません。
(数理系ではなく生物系ということで不利を感じたことはありますが)

三菱商事の人も、「ビジネスは科学的でなければならない」と豪語していましたし。

「ビジネスは感性、なんて昔の話。論理的に自分のやろうとしていることを説明できない人には仕事を任せられない」とも。

もちろん感性も重要だけど、との付言はありましたが。


私が内定した外資投資銀行も、半数以上が理系院生でしたし。

よって、履歴書に「文系」と書くなんてそんなこと、とてもできたものではありません。

この田中さんがその後どうなったのか心配です。
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御子柴先生 特別講義

今日は御子柴克彦先生の特別講義、一日目。

Reelin, Yotari, Wriggle mouse Sagami, IP3Rなどで華々しい成果を出している人です。

話のうまい人で、内容が容易に頭に入ってきました。

5時間の講義のうち、最初の1時間は延々と「研究者としての心構え」がテーマだったので少々驚きました。
僕はこういう話も好きですけれども、「早く本題に入ってくれ」と思っていた人もいたかもしれません。

以下、その「心構え」の一部です。

研究内容で重要なのは次の7つ。
1) 新しい研究の切り口と視点
2) 固定概念の打破
3) ワンパターンからの脱却
4) 発想の自由さ、ユニークさ、豊かさ
5) 材料の自由な選択
6) 新しい技術の導入
7) 新しい技術の開発

人材育成で重要なのは以下の4つ。
1) 多様な分野からの人材を集めること
2) ユニークな人材を育てること
3) 発信して人を引きつけるラボヘッドになること
4) 独立心を育成すること

・自分で流行を作ること。
決して流行の中に自分の身を置いてはいけない。

・朝から晩まで実験をやっているようではダメ。
自分の頭で考えること。
トラブルシューティングができるかどうかがその人の真価。

・ポスドクになって独立したときに何ができるかが重要。
それまでテーマや方法を上から与えられてきただけの人は何もできなくなる。

・独立心は必須。
ただし、研究者は孤独だから一人でやろうとするとつぶれる。
必ず多くの人と関わりながら研究を進めること。
一人で良い研究をすることなどできない。

・論文は少なくていい。本当にオリジナルで本質的な研究をすること。
本当に重要な研究をやっている人はみんな欲しがる。

・データが簡単に出るような研究はどうでもいい。

・論文が多い人も好かれるけれども、それは文科省の予算が一緒に獲得できるからであって、論文の真価が認められたとは限らない。

・良い論文は斜め読みしてもすっと頭に入ってくる。
それは「本当にわかりたいこと」への筋道が通っているから。
データだけ出した論文はストーリーをこじつけなければいけないから読みにくい。

・いろんなアイディアをボスにぶつけることが大切。

・教科書を信じてはダメ。あれはわかっていることしか書いてない上に、
そもそも間違いだらけ。

・自分の大学に固執せず、院生のうちにできるだけあちこちすること。
人の輪を広げること。
関東と関西でも大きく考え方が違うし、
日本と世界でもまた大きく考え方が違う。

・脳をやるのに脳だけを見ていたのではダメ。
うちの研究室は脳がテーマだけれども、半分以上の人が脳以外のことをやっている。

・材料選びはとても重要。
同じテーマでもどの生物種を使うかによって実験の成否が大きく左右される。

・医学部の人が理学部の人よりもテーマ選びに優れているのは、
常に「通常-異常」「健康-疾病」の差異を意識しているから。

・解剖学の細かい知識を覚える必要はない。
ただ、「これを調べればわかるかもしれない」という引き出しの数を多くしておくこと。
いったんひらめけば後は調べればよい。

・英語力をつけること。
英語で外国人のヒソヒソ話を聞き取れなければいけない。
彼らは重要な話を日本人に大声ですることはない。
外国人どうしの仲間内で小さな声でしゃべっている。

・逆に、自分がきわどい質問をされた時には、それをうまくかわして
相手から重要な情報を聞き出せるだけの英語力が必要。

・理研のミーティングは全て英語。
外国人も22%いる。目標は30%。

・地道にコツコツやれば必ず報われる。


【“御子柴先生 特別講義”の続きを読む】

博士進学の理由【BOOKS】『科学者になる方法』

科学者になる方法―第一線の研究者が語る 科学者になる方法―第一線の研究者が語る
科学技術振興機構プレスルーム (2005/01)
東京書籍

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「科学者になる方法」系の本は、著者一人のみの視点で書かれていて
とにかく偏りがちであるが、本書は36人の研究者のインタビューがあり、
全体としてかなりの中立性が保たれている。
全員「研究楽しい!」という点で一致。

実に半分の18人が生命科学系なので、生命科学を目指す者としては動機付けになる。

ただ、「彼らがどのような思考経路を経て博士課程進学を決めたのか」
ということを知ろうとして読むと、ほとんど役に立たない。

ほとんどの人が「研究がおもしろそうだったから」程度のことしか書いていない。
もしくは「最初は研究をやろうと思っていなかった」という人もかなりいる。

本書は「研究生活の厳しい側面」については書かれていても
「研究者になる上での厳しい側面」については底が浅い。
その意味で本書のタイトルはミスリードである。

近藤寿人さんは例外的に「将来が不安だった」と書いており、
「もしものために教職のための単位をとっていた」と書いている。
(ただし教師の門も狭い)

好感が持てるのは高濱洋介さん。現状をかなり理解している。

「ポスドクの待遇は改善されてきましたが、助手のポストは減っています。
つまり受け皿がないんです。
最近は大学のシステムも変則的になっており、キャリアパスが見えにくい。

こういった雇用不安定やキャリアパスの不安定さが、研究者を目指す若い芽を摘んでいないか心配です。
これらの問題を解決する国家的政策が必要だと思います。」

ここまで理解している人から、
「自分の心の声に従って選んだ道なら、きっと後悔することはないはず」
と言われると若干安心する。

(しかしブログ上で「後悔」している方々は一応「心の声」を聞いたはずで・・・)

キャリアパス的にかなり親近感が持てるのは北野宏明さん。

【“博士進学の理由【BOOKS】『科学者になる方法』”の続きを読む】

博士に進学すべきか?:博士後に控える問題をあぶり出すブログ集

博士課程に進学すべきかどうか、迷っています。

昨年までは、ほぼ100%進学する予定でした。
それが、『失敗しない大学院進学ガイド』という衝撃的な本を読んで
95%くらいにまで落ちました。

最近は、多くの研究者がブログを書いていることを知り、
「博士・ポスドク問題」の生の声を読むようになりました。
おかげで博士進学のモチベーションが90%くらいまで落ちてます。


実態を知るとかなり気が滅入ります、ほんと。
上記の本に書いてあるよりもさらに博士は先行き不透明な感触を受けます。

このブログを見てくれている友人の中にも
博士進学を迷っている人が何人かいるはず。

皆優秀なのですが、どうも「優秀ならば何とかなる」状況ではない印象を受けるので、
知れることは事前に知っておいていいと思います。
私自身も、就職するならあと半年で決断しなければいけないので
あまり時間が残されていないのですが。
(しかしあと半年では研究と言える研究をやった気がしません。
悩ましい問題です。)

以下、参考になるブログエントリー集です。
リンクと、リンク先の文章中で印象的な一節を引用しています。

全て個人の一視点であり、統計的に偏ってはいますが、
我々は普段、教授や参考書などで「研究者として成功した」声しか聞かないので、
むしろ感覚的な統計を是正する意味でネガティブな声を拾うのも妥当かと思います。
【“博士に進学すべきか?:博士後に控える問題をあぶり出すブログ集”の続きを読む】

一流の条件とは。【BOOKS】『物理学は越境する』

物理学は越境する ゲノムへの道 物理学は越境する ゲノムへの道
和田 昭允 (2005/08/24)
岩波書店

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日本のゲノムプロジェクトを率いた著者が、
日本の研究体制に対する批判と、研究者に対するエール
自伝の形でまとめている。

一流研究者は、レフェリーの半分くらいはアホだと思っていて
真正面から論争し教え説得するのが普通、というのがハーバードで習ったこと」

といったように、本文の中には「無能な科学者」に対する批判が
ちりばめられている。

加えて、小柴昌俊氏を筆頭に、著者の和田氏を絶賛する
「和田先生紹介コラム」が大量に載せてある。
宗教的な崇め方と思わせる文章も少なくない。

これらの要素により、最初は読んでいて
「そりゃ無能な研究者もいるかもしれないけど、自分はどうなの?」
「自伝に自分を賞賛する文章を入れるか?」
と、かなり抵抗を持ってしまった。

しかし読み進めるうちに、逆にこちらが和田氏の「信者」になりかけてしまった。

確かにこの著者の能力は桁違いなのであろうことが伝わってくる。

母方の曽祖父は木戸孝允、
父方の曽祖父は西園寺公望の弟、
父親は東京帝国大学の教授。

幼い頃から自然に英才教育を受けていた著者にとって、
この能力は「自然」であるが故に、他の研究者たちが「不自然なまでに無能」に
感じることが多かったのではないかと思った。


和田氏は、英米でのワトソンやクリック達と同様に、
日本で生物学に物理学を持ち込んだ人物である。

英米は物理学を生物学に持ち込むことがスムーズに進み、成功を収めたのに、
日本で物理学を生物学に持ち込むことがいかに困難だったのかを教えてくれる。

日本人が開発した世界初のDNAシーケンサー技術は、
日本政府が自らの手で特許を取り下げた。


またゲノムプロジェクトに対しては
「これはサイエンスではない」
「人間がやれることをなぜ機械にやらせるのだ」
などの理不尽な非難を浴びた。

日本がイニシアティブを取れるはずだったのに自滅した例の数々が紹介されている。

アメリカが日本の分子生物系プロジェクトを徹底的に
押さえ込もうとしていたくだりを読むと、少なくとも
アメリカが恐れるほどに日本はこの分野のリーダーになり得たことが伺える。


そんな著者が、60年の研究生活で多数の一流の人間から
教えてもらってきて自然と悟った、「一流の人間」としての条件が以下の7つ。
【“一流の条件とは。【BOOKS】『物理学は越境する』”の続きを読む】

【記事】科学者のための結婚アドバイス

今週のnatureに「科学者のための結婚指アドバイス」がありました。
(nature 445 pp700-702, When two worlds collide)


がしかし。
アドバイスはその辺の結婚アドバイスと変わりありませんでした。

「遠距離恋愛の時には何があっても毎日話すこと」
「常に、どこまでが許容範囲なのかを明確にし、妥協点を見つけること」


などなど。
科学者に特化した話ではあるまい。

(酒井冬雪の「理系のための恋愛論」が既に理系とは関係なくなっているのと同様か。)


「子供を生むなら、子供が病気のときのために、両親のどちらかが常に家にいるようにすること。養育費の節約にもなる」

のように、「そりゃできればいいけど、どうしようもないじゃん」系のアドバイスもあますが。

とりあえず相手が科学者じゃなくても結婚しながら研究は大変そうです。

いつ結婚しよーかなー。
悩むわー。


以下、おもしろかったデータ。
【“【記事】科学者のための結婚アドバイス”の続きを読む】

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