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CD38の下流はCADPS2?

今日のジャーナルクラブ@ラボはCD38とオキシトシンの論文でした。
過去ログ(CD38がないと社会性を失う and レビュー)で紹介したもの。

さすがに先輩は関連論文を読み込んでいる量が違って、今更ながら勉強になりました。
でもこちらも予習していたので、珍しくプレゼンの全貌を把握できました。
逆に言えば、これくらい勉強しないと普段のジャーナルクラブは消化できないのかと思い、内心苦笑。

プレゼンを聞いているうちに、
CD38のノックアウトマウスと、
CADPS2のノックアウトマウスの表現型が非常に似ていることに気づきました。
(正確に言えば、思い出したと言うべきか)
(参照:CADPS2遺伝子と自閉症の関係

どちらのノックアウトマウスも、
・多動性
・femaleマウスの養育放棄
などの共通した症状を見せます。


CADPS2タンパク質の役割の一つは、
dense-core vesicleとPIP2に結合して、
Caイオン依存的にdense-core vesicleのエキソサイトーシスを引き起こすことです。
エキソサイトーシスを触媒しているのはactive zoneでのATP依存的プライミングの時。

CD38は、cADPRの合成を触媒し、それによりER内のCaイオンを引き出すことがわかっていますが、その下流が不明、という状態なわけです。


ヲヲ?

これはもしや、CD38の下流はCADPS2なのデハ?

そうだとすると、CD38のノックアウトではactive zone近くでdense-core vesicleが溜まるのも説明がつきます。
active zoneには行けるけど、Caが足りず、プライミングがうまくいかないからエキソサイトーシスまで進めない。

CD38をノックアウトしても完全にオキシトシン放出がなくなるわけではないことは、CD38以外のCaカスケード and/or 浸透圧などの他の原因でエキソサイトーシスが起きていると考えれば説明がつくわけで。


先輩は「Caカスケードは複雑すぎて、全てフォローするのは無理だった」と仰っていました。
しかし同じCaカスケードでも、その阻害による表現型が似ているのならかなり有力なのではないでしょうか。(このあたりのセンスがないのでわかりませんが)


私の研究分野ではありませんが(関係はありますが)もしこの分野の人間だったらCD38とCADPS2の関係を調べたかったと思います。
CD38とBDNF、ニューロトロフィン、ドーパミン(受容体)、概日リズムの関係とか。

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【論文】共感覚者は脳の領域間の神経結合が過剰

共感覚は脳の領域間の過剰な神経ネットワークが原因
Romke Rouw et al,
Increased structural connectivity in grapheme-color synesthesia
Nature Neuroscience 10, 28 May 2007


特定の文字が特定の色に見えたりする"共感覚"の機構がわかってきたようです。

今週のThe Economist にも掲載されています。
相変わらず早い・・・
しかも画像が原論文より綺麗だし。(修正・加工してあるからですが)

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【論文】統合失調症とNRG1, erbB4, GABA

Neuronから2つ。
前々から統合失調症との関連が報告されていたneurogulin 1(NRG1)とerbB4についての論文です。

Li et al,
The Neuregulin-1 Receptor ErbB4 Controls Glutamatergic Synapse Maturation and Plasticity
Neuron 54, May24 2007


Woo et al,
Neuregulin-1 Enhances Depolarization-Induced GABA Release
Neuron 54, May24 2007


以下、Neuronの同issueのPreview を抜粋・編集したものです。

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Synapses 第4章 5~8節 要約

やっと最後。プチ疲労。
やはり基礎知識を日本語で仕入れていない分野を英語で読むと時間がかかる。

以下、
・How does Calcium Trigger Neurotransmitter Release?
・Function of Rab3 GTP-Binding Proteins in Synaptic Vesicle Exocytosis
・Protein Dynamics in the Synaptic Vesicle Cycle: Role of Synapsins
・General Implications for Membrane Traffic
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Synapses 第4章 4節 要約

Synapses 続き。

Molecular Basis for Synaptic Membrane Fusion
The SNARE Cycle and munc 18a/nsec1



【“Synapses 第4章 4節 要約”の続きを読む】

Synapses 第4章 3節 要約

前エントリーの続き。

全訳は無理でも要約くらいなら。

むしろ書きながら読んだ方が理解が早い。


【“Synapses 第4章 3節 要約”の続きを読む】

Synapses 第4章 1~2節

自主ゼミでSynapsesというテキストを輪読しております。

自分の担当になった第4章を全訳しようとして挫折・・・orz

意外に翻訳は時間がかかる。

昔は、「なんで The Molecular Biology of the Cellの翻訳に4年もかかるんだ!(怒)」なんて思っていましたけど。
多忙の先生方が時間の合間を縫って翻訳するのは本当に大変な作業なんだろうな、と思ってしまいました。
4年もかかって誤訳があるのもどうかという気はしますが。

自分の集中力のなさも浮き彫りに。
集中力MAXの時には1ページ15分で訳せるので、計算上は1日で全部(30ページ)訳せるはずなのに・・・。


以下、4章の1節 The Synaptic Vesicle Cycle と2章の Synaptic Vesicles の翻訳。
役抜け、誤訳がたくさんあるハズ。
この量なら著作権・版権上も問題ないハズ。

【“Synapses 第4章 1~2節”の続きを読む】

地雷を探知する酵母

酵母を地雷探知機に利用できるようになったらしいです。

Radhika et al,
Chemical sensing of DNT by engineered olfactory yeast strain.
Nature Chemical Biology, May 7 2007


酵母に、DNTを探知するとGFPが発現して光るようにした、とのこと。

(DNT:ジニトルトルエン。TNTよりしょぼい爆薬。TNTだと敵が死んでしまうが、DNTだと「死なずに重傷」になるため、敵の人員・医薬品などを枯渇させるのに効果的、という戦略が込められている)


埋めるのには500円、
取り除くのには5万円かかると言われる地雷。

これで、世界に埋まる7000万個の地雷除去も楽になるかも、ということでした。


開発したのはアメリカのテンプル大学。

「やっぱ頭いいな~」と思いつつ、同時に
「でもこの7000万個の中の多くはアメリカが輸出したんだよなぁ」と思うと「?」なんかんじ。


これでこの酵母が売れたら一石二鳥だもんなぁ。

っていうか地雷除去PKOの予算の何割かは日本負担じゃないの?


なんてことを考えたりする論文でした。
ま、バイオの技術がこういう方向に使われるなら少しは安心です。

【紀要】言語の起源をテナガザルから探る

生物学科の学内紀要がなかなかおもしろい。

正高信男さんの報告は「テナガザルの歌に言語の起源をさぐる」。

どうも正高さんはデータから言えることを逸脱した仮説を提唱する傾向があるように思うのですが、新しい考え方を提示してくれるので好きです。


今回のテーマは言語の起源。

「言語の起源を実証科学で解答を出すのは、大変難しい」と断りつつ、

その理由は
「化石は行動の進化に関してほとんど何も語らない」
からとしていて、

「よって現生の霊長類の行動にモデルを求めるのが重要」
としています。

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【記事】エタノールは本当に環境に良いのか:政治力学の妙

今日のBTJの話題はホワイトバイオ。

セルロースエタノールの産業化は米国の強いイニシアチブの下で進んでいるようです。

一例として、米エネルギー省は新たに稼動する6箇所のセルロースエタノール工場に対して、一箇所につき60億円以上の補助金を与えていることや、ホワイトバイオのベンチャー企業に対しても集中投資がなされていることが挙げられています。

それに対し、日本は基礎研究から産業化までの橋渡しにはお金を使わないから、せっかくの研究がゴミとなっている、と。

要するに「日本はまた出遅れてますよ」という趣旨なのですが。

エタノールに関しては、『クーリエ・ジャポン』6月号に載っていた総括の方が深く分析してあっておもしろかったですね。

セルロースエタノールに負けず劣らず、米国政府は昔から「トウモロコシからの」エタノールに莫大な税金を投入しています。


注目すべき点は次の二点。

1)本当にトウモロコシからのエタノールは環境にやさしいのか?
2)なぜ米国はトウモロコシエタノールにこだわるのか


【“【記事】エタノールは本当に環境に良いのか:政治力学の妙”の続きを読む】

タンパク質はランダムコイル領域も機能を持ちうる

『日系サイエンス(Scientific American)』6月号によるレビュー。

普段は購読していないのですが、書店で「謎のタンパク質不定型領域」というヘッダーを見て即購入。

「構造が機能を決める」という言葉に魅かれて入った今の研究室。
このレビューは
「構造と機能は表裏一体 -こんなタンパク質の常識が変わろうとしている-」
という文で始まります。
なんとも面白そう。


実際に面白かったのですが、衝撃的というほどでもありませんでした。

一言で言えば、
「結合する相手によって特定の構造をとるランダムコイル領域がありますよ」
ということ。

そういうことがあり得るのは研究室内でも常識なので
今度のラボ内ジャーナルクラブのネタにはならなさそうです。



しかし知らなかったことはたくさんあったので
興味深かった点を箇条書きにしてみました。

【“タンパク質はランダムコイル領域も機能を持ちうる”の続きを読む】

脳の解剖学的な男女差

男女の脳にはどのような差があるか?

面白い点ではありますが、脳がどう機能しているのか判明していない段階で論じても
あまり意味がないように思ってしまい、あまり真面目に論文を読んだことがありませんでした。

しかし、これまで熱心に論文を読まなかったおかげで逆に誤解を信じてしまっていました。

「女性の方が脳梁が大きい」というもの。

1982年のScienceの論文なのですが、追試ができるような代物ではなかったようです。
(→c.f. Shuzoさんのブログ

脳梁は年齢によって変化するのに年齢をコントロールしていなかったり
サンプル数が少なすぎたりと、様々な問題があったようです。

この論文を引用して、
「だから女性の方が左右の脳の情報交換量が多くて、連想が得意&空間認知が不得意」
などと論じているテキトーな本もありましたけど。


少し調べてみたら、男女の脳の解剖学的な差を論じているものには次のような論文がありました。

(以下の論文は全て年齢をコントロールしています)
(ただし年齢が同じでも成長度は異なることがあるので注意)

L.S.Allen et al
“Sex differences in the corpus callosum of the living human being”
J. Neurosci. 11, 1991, p993-


・サンプル数122人
・脳梁の容積に関しては男女の差が認められない
・脳梁の膨大部(後部1/5の部分)の形態は、女性の方が男性よりも膨らんでいる
・ただし、重複の度合いは男女で重なる部分もある



L.S.Allen et al
“Sexual dimorphism of the anterior commissure and massa intermedia of the human brain”
J. Comp. Neurosci. 312, 1991, pp97-


・サンプル数100人
・前交連は女性の方が男性より12%(1.7平方mm)大きい
・視床間橋も女性の方が55%(17.5平方mm)男性よりも大きい
(視床間橋massa intermedia=第三脳室を介して左右の視床を結ぶ構造)



M.A. Horman et al,
“The sexually dimorphic nucleus of the preoptic area in the human brain”
J. Anat. 164, 1989, p55-72

・性的二型核(SDN-POA)の大きさが、男性の方が女性よりも2倍大きい
(SDN-POAとは、内側視索前野にある神経核。出生前後のアンドロジェンによって作られるため、オスの方が肥大していると考えられている。ラットではオスの方がメスの8倍も大きいことがある。)



L.S.Allen et al
“Two sexually dimorphic cell groups in the human brain”
J.Neurosci 9, 1989, pp497-


・SDN-POA(本論ではINAH1と呼ばれる)に性差はない
上記論文に反論している。ちなみにINAH1~4は全て視床下部にある神経核)
・INAH2および3は男性が女性よりも2倍以上大きい
・分界条床核(BST)の後内側部の大きさは、男性が女性の2.5倍(@26歳)
(BSTとは、視床下部と辺縁系を結ぶ位置にあり、性腺刺激ホルモンを分泌すると言われる場所)



D.F.Swaab et al,
“Sexual differentiation of the human hypothalamus in relation to gender and sexual orientation”
TINS 18, 1995, pp264-


・視交叉上核(SCN)の容積に男女差はない
・SCNの形状が、男性では球状だが、女性では前後に伸びた長方形である
・VIPを分泌する細胞数では、30歳まででは男性が女性の2倍。65歳以上では性差なし。



やはり、形状や大きさを論じたところで何がわかるというわけでもなさそうなのが悲しい。
幼児期から水頭症にかかった人では、大脳の容積が平均の10%しかないのに知能が普通だったりすることを考えると
「大きいからこの能力が高い」云々を論ずるのはかなり無理がありそうに思います。

【BOOKS】『妻と帽子を間違えた男』:素数計算の怪

妻を帽子とまちがえた男妻を帽子とまちがえた男
オリバー サックス (1992/02)
晶文社



オリバー・サックスの代表作の一つ。

1985年に出版された本ではあるが、その面白さは今でも全く色あせていなかった。

オリバー・サックスが臨床にいた頃は、今よりもずっと精神性の患者に対する差別・隔離・偏見が強かった時代だった。

それにも関わらず、この本からは病院の暗い雰囲気は一切ない。
サックスの、患者に対する愛が伝わってきて、とても読後感が良い。


さすがに当時の技術では脳を見る方法は脳波が主流で、
せいぜいCTといったところなので、神経レベルで興味深い話はない。
(一般の読者を想定して削ったのかもしれない)

それでも、臨床的な症状として興味深い事例が豊富に載っている。
(以下、引用箇所の太字は全て引用者)

例1:幻肢は出したり引っ込めたりできる

幻肢の話は『脳の中の幽霊』に詳しい。
おそらくラマチャンドランが「幻肢痛の治療法」を編み出す前の話だったのだろう、
『妻を帽子と間違えた男』の中に治療法は載っていない。

しかし、『脳の中の幽霊』にも書かれていない話が載っていた。

幻肢は、一度消えていても意図的に「蘇らせる」ことができる!
以下、引用。

「義肢の使用に当たっては、幻影肢の有無は非常に重要である」

「たとえば下肢が義足の場合、安心して歩けるためには、そこにファントムがある必要がある」

「そういうわけだから、ファントムが消えると帰って不幸な場合がある。
そこで、ファントムを呼び戻したり蘇らせることが緊急肝要な課題となる」

その患者は、毎朝ファントムを「起こす」のである。
朝起きるとまず、切断した後残っている大腿基部をはげしくたたく」

「五回か六回たたいたところで、とつぜん幻影肢が、この末梢性刺激によってにゅっと生えてくる

「生える速さときたら電光石化、一瞬のうちである」

(引用終わり)


なんとも驚きである。
「毎朝」ということは、寝ると消えるということか。
毎日使っているのに、毎日消えるというのも不思議。



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グローバルCOE:「一見ムダに見えた研究」の終焉

今日の大学院の講義は、
グローバルCOEのプレゼンテーションの予行演習でした。
近々、中央での審査があるらしく。

「もし当たったら諸君にもこの目標を達成してもらう必要があるから」
とのこと。

5年間で25億円

その一部は、院生へのフィールドワーク交通費の補助・奨学金などに回されるそうです。
確かに院生へのインパクトが大きい。


申請のテーマは、「細分化してしまった生物学の統合」だそうで。

現在は分子(超・ミクロ)から生態系(超・マクロ)まで、
それぞれの段階で輪切りになって研究が進んでいる状態だけれども、
そこを学際的に繋げられるような研究をしようじゃないか、と。



その一例がまたすごい。
マクロの人たちに、感心と疑問を抱いてしまうものでした。

例1:暗黒ショウジョウバエの研究

マクロでは、暗闇の中でひたすら交配を続けさせたショウジョウバエを育てているらしい。

その期間、既に50年
約1300世代

「暗闇で育てたらどのような行動を示すか」を調べようとしたらしい。

しかし定量的な研究が難しいので、
ここはミクロの出番。
このショウジョウバエが示す行動の差を遺伝的に解析しようではありませんか、
という計画があるそうな。

例2:琵琶湖の生態の変化

京大では、過去100年に渡って、琵琶湖に生息する3000種もの生物の標本を毎年作られているらしい。
長期的な定点観測。
しかも未だ研究には使われていない

こういう「宝の山」(文字通り標本が山になっている)をミクロが発掘すれば
定量的な解析が可能ではないか、というもの。
環境問題とかに役立つ、カモ?


なんとも驚きです。

明らかに、こういったプロジェクトが開始された時点では
「どのように利用するか」は考えられていません。
(分子生物学自体がまだ脚光を浴びていませんし)

「おもしろそう」
「将来何かに使えそう」
程度のモチベーションだったのでしょう。

ミクロの世界ではなかなか考えにくいプロジェクトです。

マクロの多くは博物学と化していて科学と呼べるのかは疑問ではあるものの、
しかしこういう長期的で広範なプロジェクトを実行してしまうのには舌を巻きます。
しかも明確な目的抜きで。

昨今の「数値目標」によるプロジェクト申請では
こういったプロジェクトは確実に落とされてしまう
と思われます。

財政が切羽詰っている状況では致し方ないのかもしれませんが、今後
「最初はよくわからんデータだったけれども、技術と社会の進歩により貴重なデータになった」
という事例が激減するかと思うと寂しい思いもします。

【記事】大学法人化:高等教育予算の削減は必要だったのか

4月号の、『科学』に大学法人化についての特集が組まれていました。

20人以上の人が法人化について様々な意見や実態を報告しています。

「教養とは」「哲学とは」という高尚な議論もあるのですが、
とりあえず法人化の影響としての正負の面をまとめると次のようになります。

法人化して良くなったこと
・ローソンやドトールなど、夜間でも食料を買える施設が学内にできて便利になった。

法人化して悪くなったこと:
・書類作成が増え、忙しくなった
・授業負担が増えた
・給料が減った
・講義内容が皮相的になった
・他大学との交流が減った


法人化を絶賛しても商用誌として売れないので、批判が多いのは当然ではあります。
欲を言えば、もっと大局的に、国家レベルでの話を論じてくれている人がいればなお良かったかな。

「大学の事情」だけをみれば悪いところだらけでも、
もしかしたら国家全体では「他のもっと逼迫した」分野に予算が回されて
正味の効果はプラス、ということもあり得たかもしれません。

法人化による国家レベルでの正の効果も視野に入れて、それでも
「法人化は間違いだった」という論文があれば説得力があるのですが。

しかし、法人化を褒め称える文章はどのようなジャーナルを読めばいいのでしょう?
私は経済誌もしばしば読みますが、こういった雑誌にも
法人化を高く評価する記事はあまり見受けられません。
(批判記事も少ないのですが。要するに経済界は大学に興味がない?)

悪いことばかり耳にするので、少しは「法人化バンザイ」の視点を読んで
バランスをとりたいと思っているのに、なかなか難しいものがあります。


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ブログを書くことで悟ったこと

ここ数日、大したエントリーもしてないのにアクセスが異常に増えたと思ったら
かの有名な Gardener’s Diaryの管理人さんからリンクされていたことが判明しました。

加えて、はてなのお気に入り登録されたことも寄与しているようで。

一気にPVが1万を越えました。

エントリーのやりがいがあって嬉しい反面、
ますますテキトーなことが書けなくなっていきます。
(これまでテキトーなことを書いてきたというわけではありませんが)

ブログのアクセスが増えるに従って
mixiでのエントリーがテキトーになっていきます(^_^;


梅田望夫さんの『ウェブ進化論』に書いてあった、
「ブログを続けることの最大の利益は、エントリーすることで勉強になり、自分自身が成長すること」
という言葉に触発されて始めたブログなのですが。

今のところ、
「エントリーすることで勉強になる」というより
「もっと勉強しなきゃエントリーできない」ことが理解できた感じです。


要約を読めば「なんとなく」わかっても、そのレベルではとても文章化できません。

潤沢な背景知識を持っていれば、論文中の情報を重要度の順に
階層化し、再構築することが可能なのですが、その背景知識がなさ過ぎて困ります。

神経科学にしろ構造生物学にしろ、専門に特化した講義は学部にも院にもないので
通常の院生がいったいどうやって勉強しているのか不思議です。

こつこつ専門のテキストや基礎的な論文から勉強しているのでしょうか。

この膨大な量を?


「独学で修得できないようでは研究者にはなれないよ」
という一種の試金石のようなものなんでしょうかね・・・OTZ


もっともっと、ブログ上に日本語でレビューを載せてくれる研究者が
増えてくれればいいな、と思う今日この頃。

CD38とオキシトシンの軽いレビュー

Neuron にCD38とオキシトシンについての軽いレビューが載っていました。
Regulating the Social Brain: A new role for CD38

短く、しかもよくまとまっていて読みやすい記事でした。

「今ではネット上にオキシトシンが大量に売られてますね」
「でもこれは科学的根拠があるんですよ」
などという、大衆を煽るようなジョークもありましたが。
(参考ログ:「他人を信頼させる薬」

過去に何度かCD38とオキシトシンについてはレビューしていますが、
(参考ログ:CD38と社会行動
CD38が分子的に何をしているのかに言及していなかったので、そのメモとして載せておきます。

目次:
1. オキシトシンの合成から放出まで
2. オキシトシン放出の制御
3. オキシトシンの効果
4. CD38はどこにあって、何をしているのか?
5. CD38をノックアウトするとどうなるのか?
6. 未解決問題いろいろ

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自閉症のロビーが科学的根拠のない政策をごり押し

「自閉症の原因はワクチンだ」とするロビーが科学者を沈黙させる
Silencing debate over autism, nature neuroscience 10, p531, May, 2007

アメリカで、自閉症の原因について科学的根拠のない主張するロビーが問題になっているようです。

ロビーの主張は、「自閉症の原因はワクチンに含まれるチメロサールthimerosalである」というものです。
(チメロサールは水銀の有機化合物で、ワクチンの保存剤として添加される)

以下、記事の要約。

1980年代から自閉症が増加したのと同時期に、チメロサールの乳幼児への接種が増えていたため、「チメロサール(に含まれる水銀)が自閉症の原因なのではないか」と疑われた。

これを受けてアメリカは2001年にチメロサールをワクチンから除去

しかしそれ以降も自閉症の増加は止まらなかった。

Institute of Medicineは「チメロサールと自閉症の間に見かけの関連性はない」と結論付けた。

しかし、「チメロサールと自閉症には関係がない」という証拠が増えるにつれて、
ロビーグループの行動も過激化。

「チメロサールは自閉症と関係がない」と言う人は家に繰り返し電話をかけられるなどの嫌がらせを受ける。
研究者だけではなく、ロビー運動に加わらない自閉症の親も攻撃の対象となる。

おまえは自分の子供を虐待しているんだ。殺人者だ。」などの電話がロビーからかかってきたり、
7歳の自閉症の娘に対して嫌がらせの手紙を送りつけたりしている。

The New York Timesには、あたかも自閉症と水銀の関係は証明されたかのような全面広告がロビーにより掲載された。
科学者のリストも一緒に載っていたが、そのほとんどは自閉症と水銀の関係は証明されてないと思っている。

ロビー運動は政治への影響も大きい。
ミネソタ州では、医者に微量の水銀も含まないワクチンを使用するようにさせる法律が成立。
もし微量でもチメロサールが含まれていれば親のインフォームドコンセント(署名)がなければ処方してはいけないことになっている。
ロビーが親に圧力をかけていることを考えると、どれだけの親が署名するのか疑問だ。

水銀は神経毒なのだから、自閉症に関する証拠がなくとも一掃したらいいではないか、と思うかもしれない。
しかしその選択肢もリスクがないわけではない。

チメロサールは保存剤であるため、これがないとワクチンの質が保証できなくなる。
保証しようとすると、値段がずっと高くなる。
ワクチンを打てなくなる家庭も出てくるだろう。
そうでなくとも、ミネソタでは署名など求められたら親は「このワクチンは危険だ」と思ってしまい、躊躇するだろう。


これはもはや科学ではなくイデオロギーなのである。

専門家の最も同意する意見と、
反対意見を圧殺する計略的・感情的な意見。

法は前者を採用するべきである。

そして自閉症の研究者自身が、何が妥当な理論なのかをもっと明確に打ち出さなければならない。

(要約終わり)


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【論文】脳の初期状態のBOLDシグナルはサルにも見られる

サルの無意識状態でのBOLDシグナルはヒトの初期系と同じ振る舞いを見せる
Vincent et al, Intrinsic functional architecture in the anaesthetized monkey brain.
Nature 447,3 May 2007, pp83-

脳のエネルギー消費の大部分は、意識に上らない活動に使われていることに注目した論文。

かなりインパクトがあったらしく、表紙を飾っている上に
nature podcast のテーマにもなっている。

脳は何らかの行動をしたり外界から刺激を受けたりしなくても特定の活動をしていることがわかっている。
BOLDシグナルが、自発的に一定のパターンを示すのがその一例。

ヒトではBOLDシグナルが自発的に変動しており、安静状態でも持続的に生じている。
(安静状態であって無意識状態ではない)

今回著者らは、イソフルランという全身麻酔薬をサルに投与し、
軽い麻酔状態と深い麻酔状態を作り出した。

その結果、麻酔による無意識状態でも、サルはヒトとほとんど同じBOLDシグナル変動パターンを見せた。

この「同じ」変動を見せた領域は、
眼球運動系、体制運動系、視覚系、および初期系(default system)。

特にdefault systemは、ヒトだけに備わった系であると主張されてきたものであるため、
著者らは「この変動パターンは進化的に保存されているものであり、
意識を作り出すシステムの基本となるものと考えられる
」としている。


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