スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

病院に対する経営コンサルティング

某コンサルティング会社のセミナーを覗いてきました。
テーマは『医者やバイオ研究者はいかにしてコンサルタントとして活躍できるか』。

2年前、このテーマとは異なる同社のセミナーに参加したことがあり、
その時には感動するようなレクチャーを披露してくれたので、今回もそれを期待していきました。

(どう素晴らしかったのかを語り始めると止まらないのですが、一言で表すなら「日米の政治構造の差異をクリアに見せてくれた」ことです。その説明を聞いた後は、ニュースの理解力がまるで違ってきました)

残念ながら2年前の感動は味わえなかったのですが、それでも医療・製薬業界に関して興味深い情報を得ることができました。

以下、その要約。

「現在、製薬業界では開発の生産性が急激に低下している。
30年前の20分の1程度である。
様々な化合物を漁り尽くして、簡単には有力な新規化合物を作れなくなっていることがその理由だ。

わが社にも、製薬会社からの依頼が増えている。
その依頼内容は、『この化合物の特性を生かした商品戦略を練って欲しい』など、かなり専門性の高いものになってきた。
これはさすがに医学や化学の専門知識がないと不利になる。
よって、近年、MDやバイオ系Ph.D取得者の採用を増やしている。

実際には事例は少ないものの、病院の経営改善を行うこともある。

大学病院をコンサルティングしたこともあった。

まずは収益構造のツリーを作って、その病因が他の病院と比べてどの部分が劣っているのかを調べた。

また、分科ごとの収益性も調べた。
これが大変で、たとえば注射針はどの科で何本使ったかを管理していない。
ナースも、どの科にも属さない人の人件費をどう割り振ったらよいかわからない。
それを、先生方の協力を得て何とか割り振って収益率を出した。

そうしたら、当然のごとく、収益率の悪い整形外科や精神科の先生がお怒りになった。
『いやいや、その月には学会が多かったんだよ』etc。
それでも、このグラフを見せることで収益性の悪い科にはインセンティブとなる。

また、病院にとって”おいしい”患者とは、「入院してくれて、手術の後にはすぐに退院する患者」である。この人たちの数を増やす方策が必要である。

その一つとして、手術の回転率を上げる必要もあった。
手術は詰まっているのに、手術台はいつも空きがあった。
全ての手術台が使えれば回転率が上がる。

しかしこの原因は、医者の縄張り意識のために、ヒマな科も忙しい科に手術台を回さないことだった。

結局この問題は解決しなかった。

手術台が使えないなら、一回の手術を短くすればよい。
『そんなことをしたら手術の質が落ちる』という反論に対しては、
同じ疾患を手術しているのに人によって手術時間がまばらであることを示し、最短時間に合わせられることを示した。

だがやはりこれも失敗した。

最も即効性があったのは部屋代の統一(実質的な値上げ)。
18種類もの値段のランクがあったが、部屋を回ってみると値段が異なってもサービスが変わらないという場合が頻繁にあった。
それなら、同じサービスのところは高い方の値段に統一すればよい。
患者は減らないことも証明できた。

これにより、年間数億円の収益改善に繋がった。

他には、プロモーションとして、救急車のオペレーション部に対して、この病因に回してもらうように宣伝することもした。」


何とも生生しい話です。
病院がつぶれてしまったら患者も困るので経営改善は当然必要なのですが、
「手術の回転率」
「単価の高い患者」
などの表現は、当の患者さんには伏せておきたいところです。

精神科の時間効率アップなど、なかなか難しいのではないでしょうか。
精神病の人は場合によっては10分も20分も黙っていることもあり、律速段階が医者ではなく患者側にあることも多いと考えられるからです。

以前、知り合いの医者が、「頼むから病院に経営手法を持ち込むな」と怒っていましたが、
確かに医者や患者と、経営陣が摩擦を起こすことも考えられるな、と思いました。
経営陣は常に全体のことを考えなければいけないので、不利益を被る一部からの反発があるのは当然ではあるのですが。


あと、ロジックツリーは本当にどんな場合でも適用しているということを眼前で披露されて、少し感動しました。
それだけ使い勝手が良いのでしょう。

研究戦略もロジックツリーとかを使って考えてみようかな。
切り口が難しいけれど。とっても。

スポンサーサイト

【教科書訳】Clチャネルの種類と特性

神経生理の世界では定番のテキスト、
Ion Channels of Excitable Membrane

ひたすらチャネルについてのみ語るテキストなので、かなりマニアックです。
(しかし、それでも個々のチャネルのことを知るには本書では浅すぎるので、いかにチャネルだけでも広くて深い分野なのかが推察できます)

現在、ラボで院生が中心となってこのテキストを輪読しております。
私が最初に担当した、pp158~167のClチャネル(クロライドチャネル;塩素チャネル)の部分の日本語訳をアップします。

いつも通り、訳の正しさは保証できません。
(実際、先輩に致命的なミスを一箇所指摘されました)

アップロードに若干の責任は伴うものの、
このまま自分のパソコンに保存したところで何の役にも立たないので、
とりあえず誰かの役に立つ可能性のあるモノはネットの海に放り込もうと思っています。

以下、本文。
【“【教科書訳】Clチャネルの種類と特性”の続きを読む】

オーストラリアの研究開発政策

9月号のForesightに、オーストラリアの研究開発体制の記事がありました。
日本のポスドク問題との対比もあり、興味深いものでした。

記事の要点は以下の通り;

・オーストラリア政府は、先進的な研究をする小企業に対する支援が厚い。その企業が投ずる研究資金と同額を上乗せ支援する。

・研究系小企業の社員はPh.Dの保有者が大半を占める。
Ph.Dを取った後に起業する人も多い。

・企業に対する研究助成金の中には、大学の博士課程院生を雇うための人件費が含まれている。
これにより、企業は基礎研究能力を向上させることができ、学生にとっては職業訓練の場となる。

・オーストラリアも日本と同様、「理科離れ」に苦しんでいる。
好景気だと理数系の進学率が落ちるのは日米と同じ。

・都市部にはハイレベルな子供向け科学博物館を建てたり、地方向けには「サイエンスサーカス」という移動実験室サービスを提供している。企画の中心となるのは院生。ただしその効果のほどはまだ不明。

・日本も高学歴・研究開発型の小企業を育成・支援すべきである。

(以上)

【“オーストラリアの研究開発政策”の続きを読む】

野村総合研究所(NRI) ビジネスインターンシップ

野村総合研究所(NRI)のビジネスインターンシップに行ってきました。

NRIは大企業や官庁へのコンサルティング業務をしている会社です。
シンクタンクとして生まれましたが、現在は戦略コンサルが主業務になっています。

インターンの期間は一週間あり、実験の進行に支障を来たしましたが、
それでもこのインターンへの参加は本当に良かったと思います。

何より、自分が社会に出たときの市場価値を概算することができます。
私はこのインターンを通じて、自分にはこの業界において市場価値はないということを知ることができました。

「考えることが好き」
「知識を仕入れるのも好き」
「世界の幅広い分野に興味がある」
「生産性の高いシステムを構築することが好き」
という自分の特性から、コンサルティングという仕事は自分に合っているのではないかと思ってしまったわけですが。
実際に仕事に取り掛かってみると、仕事内容自体はとても好きであることは確認できたものの、その処理スピードが半端なく遅い&センスがないことに気づいてしまいました。

今から訓練して市場価値を高めるという方法もありますが、現時点である程度のアウトプットを出せないことを考えると、やはり自分にもっと適合した分野で仕事をした方がよいと思わせられました。

その意味で、やはりインターンは会社と学生との双方に多大なメリットがあります。
・会社側は、間違った採用を防げます。(一週間も見ていれば、「使える」学生かどうかは簡単にわかります。)
・学生側は、間違った就職を防げます。(好きだからといってその会社でやっていけるとは限らない)

NRIの場合、インターンといえども、ES、SPI、個人面接、GD、GIと5つのテストを実施して学生をスクリーニングしています。
それでも今回、12人のうちかなりの人数が「僕/私はこの職に向いていない」と感じていましたから、やはり採用にミスはつきものだということがわかります。
それを事前に防げるのですから、こんなに良いことはありません。

8月20日の日経新聞に、「即戦力の博士育成のためにインターンシップを実施」という記事がありましたが、これには大賛成です。
企業としては、「優秀な博士は採りたいけれども、コミュニケーションのとれない人物だったりしたら大変だ」という意識があるようです。
インターンを実施すれば、採用したくない博士は事前に排除できるため、有能な博士を取る機会が増えます。
ただ、企業主導ではなく政府主導で行われているので、おそらく企業側もそんなに需要がないのだろうな、とは思います。

本当は博士ではなく修士の時点でインターンを行うべきとも思います。
博士に進まずに就職すべきということを理解させる機会になったり、
博士に進学するにしても、このままでは社会に出られないということを実感することができます。

私も今回の経験を通じて、今行っている実験の無謀さを悟りました。
もっと長期的な展望と計画性をもって行わなければ、私の実験の意義を誰も納得しないということがわかりました。
加えて、インターンでは自分の位置(価値)がわかったのとは対称的にに、ラボは自分の位置を定められるような環境ではないため、大きな不安も覚えました。
もし自分が研究にも向いていないのだとすれば、それはどのように証明し得るのか?
もっと厳しい、競争的な環境に身を置いた方がいいのではないか?
などなど、考えることが多くありました。


最後に。このインターンを勧めてくれたのは、工学部の友人と経済学部の友人でした。
自分の学部だけに閉じこもっていたら情報自体が入ってこなかったでしょう。
多様な人々と付き合おうとしたのは正しかった、と確認できたのも有意義でした。
今回も、個性的な友人(戦友)ができましたし。


NRIインターンでは、演習問題的ではなくて本物に近いケースが扱われますし、社員の方々も非常に協力的で、多くの時間を割いてくださいます。
短時間ながら、自分の成長を実感できる良質なプログラムです。
お勧めですよ。

【記事】脳のネットワークとpruning

今週のThe Economistの記事に、PNASとNature Neuroscienceのレビューが載っていました。(こちらのサイトにほぼ全訳が載っています)
神経細胞のpruning に関する論文のようです。

疑問の出発点は、
・なぜ子供の時には長時間何かを待ったりすることができないのだろう?
・なぜ子供のときの記憶は断片的で、その記憶の前後のエピソード全体を思い出せないのだろう?

という2点。
大人でもイラチは多いよなぁ、なんて思いつつ。

でも確かに幼い時(3~8歳くらい)の時の記憶って断片的なんですよね。
数分間単位の記憶があっても、「なぜそれに至ったか」が思い出せません。
不思議です。


PNAS論文の著者であるSchlaggar博士はグラフ理論の専門家でもあるようです。
記事の中にも、軽くスモールワールドに関する記述があります。

Schlaggar博士の実験は;
・学生を被験者とし、規則性のある音を聞かせて次の音が来るタイミングを予測させたり、2つの言葉のペアが同属かどうかを判定させたりするテストを行った。

・一定の法則に則って課題をこなすときには、脳の中で7つの領域が活発だった。

・その法則が間違いとわかり、他の法則を模索するときには他の11の領域が活発だった

とするものです。
前者をcingulo-opercular network、後者を frontoparietal networkと呼んでいます。

著者らによれば、従来の「脳の領域」が重要なのではなく、「脳のネットワーク」が重要という点が新規だそうで。

しかも、この2つのネットワークは、幼い頃には区別が曖昧で、成長するにしたがって独立したネットワークとして機能していく、という点が今回の論文のキモ。

Pruningが10年単位で行われているのだとすれば、確かに興味深い現象です。

がしかし、cingulo-opercular networkが行動抑制的で、frontoparietal networkが行動適応的だから、前者が後者に覆われている子供の時にはがまんができない、という説はよくわかりません。

原論文を読めばわかるのでしょうが・・・


あと、Nature Neuroscienceの論文によれば、
・内側頭葉は、どんなシーンを覚えるときにでも発火する
・側前頭前野は、18歳以上の被験者がエピソードつきで記憶を形成する際に発火する
そうです。

大人になると、丸暗記よりも理論付けて覚えた方が覚えやすいのはこのためでしょうか。

発火部位を示されても、何かを理解した気になれないのは相変わらず否めませが。

アクアポリンを利用した水浄化

前エントリーとは逆に、
市場中心の研究も悪くないな、というお話。


アクアポリン、というタンパク質があります。

2003年のノーベル賞ネタなんですが、意外に知られていません。

膜タンパク質で、細胞内外に水を高速で通す性質を持っている、水チャネルです。

最初に見つかったアクアポリン1は、1秒間に水分子を30億個も通します。
(e.g. ヒトであれば、1日に全身で300リットルもの水を透過しています。)

しかも、イオンはおろかプロトンさえも通さないという、驚異的な選択性も持っています。
(最近になって、他のアクアポリンは水の他にもいろいろ通すことがわかってきました)


で、この「水の高速透過」と「強い選択性」に目をつけた会社がありました。

デンマークの会社なのですが。

その会社は、「アクアポリンは汚水の浄化に使える」と考えたのです。

アクアポリンが埋め込まれた膜でフィルタライズすれば、
純粋な水だけが高速で透過する、というしくみ。

そのアイディアを見たとき、「賢い!」と思いましたね。

まさに世界のニーズと合致しているからです。

21世紀は、石油戦争と並んで水資源を巡る戦争も危惧されています。

世界中で、水の需要が急増しているからです。

水が豊富にあるといわれている日本でも、ミネラルウォーターの需要は上昇。

世界全体で工業が発展するにつれ、工業用の純水の需要も高まります。

発電にも純水は欠かせません。

また、途上国では10億人以上が浄水を利用できない状況にあります。

ユニセフなどが貧困対策に使うコストのうち約半分が「水の浄化」で占められています。
(人件費も、ワクチン費も、輸送費も、それぞれ1割程度でしかありません。)

井戸が自宅から10kmも離れているため、水汲みで往復するだけで1日が終わってしまう子供達も多く、彼らは教育も受けられません。

アラル海は水のくみ上げすぎで消滅寸前。

コカコーラ社は、インドで1リットルのコーラを作るために9リットルの水を使用し、民間人の水補給を圧迫していることから非難を浴びています。

日本も他人事ではなく、ミネラルウォーターだけでなく、農産物や畜産などの輸入は同時に水の輸入であることも念頭に置く必要があります。
輸入先では膨大な水を使って農産物や家畜を育てているわけで。
(牛肉100gにつき2トンの水が必要とされています)


要するに、世界中で水の争奪戦になるであろうことはほぼ確実。

そんな時代にあって、「低コストで確実な浄化装置」はとても魅力的です。

その会社の担当者と直接話す機会がありまして、その人曰く、

水浄化の市場は年率8%で増加している。いまや30兆円規模だ。」

「我々のフィルターの水選択性は99.999995%。現在存在する浸透圧浄化フィルターの1万倍の精度だ。」

「コストも安い」

「5年間で売り上げが2倍になったゼ」

「既に特許も10件以上取っている」

「ライバルは、同じデンマークの会社だ」

ほほー。

商売気たっぷりでしたが、しかし確かに画期的な発想ではあると思います。

イオンを通さないということは、海水から純水を作れるということ。

雨水からの浄化も容易でしょう。

あとは、タンパク質なので、分解その他が心配ですが。

私も同種のタンパク質を扱っているわけですが、
この会社のような発想ができると、純粋な好奇心の充足とはまた違う達成感がありそう、とも思います。

「私の発明が水資源の争奪戦争を阻止したんだ」
って思えたら、不遜ではありますけど、自己満足には浸れそう。

だからといってベンチャーを立ち上げる気はなりませんが。



あ、
ナノテクノロジーで、アクアポリンを模倣したフィルターって作れませんかね。

高速透過のためのファネル構造と、
水選択のためのNPA配列を模したフィルター。

・・・無理かなぁ。

ナノテクノロジーは日本のお家芸かと思っていたら、
アメリカのナノテク予算がここ数年で指数関数的に上昇していて、
既に抜かれてしまっている感もあるようです。

大丈夫かなぁ、日本のテクノロジー。

驚異のサプリ

GABAって本当に効果あるの?
なんてことが、チョコレートを食べながら話題になることがありますが。

今日見たサプリはGABAのレベルをとうに超えていました。


内容物は

DNA


・・・。

気を取り直して成分表示を見てみる。

『DNA 330mg
 RNA 180mg
 (1日当たり)』


・・・。
何なんだ、DNAって。
DNAって栄養源だったっけ???

謳い文句は

『若さと健康のエネルギー源』

いや、ウソをつけと。
DNAがエネルギー源なわけなかろう。

それとも、実はアデニンとチミンだけでできたDNAで、
アデニンをATPに変換する酵素が含まれていたりするのか。


DNAなら何でもいいっていうのなら、何か食べてりゃ大量のDNA自動的に摂取できるのでは。

ご丁寧にRNAまで成分表示されてるし。

それともあれか、病原体のRNAをRNAiしてくれるとか。

・・・いや、どう考えても一瞬で分解されそう。


既に消費者をバカにしているとしか思えない。
比較的マトモな会社なんだけどなぁ、DHC。

まぁ、実際に消費者のリテラシーは推して知るべし、ではある。

なにせ、遺伝子組み換え食品に反対している消費者に
「あなたはDNAを食べたことがありますか」
というアンケートをとったら、
6割が「NO」って答えたっていう調査もあるくらいで。


あ、思いついた。

いわゆる「天才」と呼ばれる人たちのDNAを抽出してですね。
増幅してですね。

「天才の遺伝子」

っていうサプリを売り出すとか。


あ、どうせならアイドルの遺伝子を売り出せばいいのか。

マニアが過剰摂取してくれそうである。


・・・。

嗚呼、だめだ、市場本位の思考をしている頭がおかしくなってゆく。

博士を育てるための税金コスト

博士を一人育てるのに税金がいくらかかっているのか、以前から興味がありました。

一次資料ではありませんが、二次資料を『蛋白質・核酸・酵素』で発見。
(PNE vol52, 2007年8月号,p1035)

1人につき1億円

だそうです。

国立大学法人の場合であれば、

国からの交付金が年間330万円×9年間。
日本学術振興会から年間1200万円×6年間。

計1億円。


なかなかの額です。

現在、年間16000人の博士号取得者が誕生しており、
2006年度であれば、彼らの進路は

就職:57.3%
無職:26.4%
死亡、行方不明:9.2%
その他:7.1%

となっています。

少なめに見積もっても毎年3000人近くの人が博士号を生かせていないと考えられます。
金額にして3000億円。
博士を取る前に就職していれば税金を納めてくれていた可能性を考えると、機会費用はさらに多くなります。

ん~、大いなるムダ。

赤城元農相の「年間900万円の不正」なんてほんとカワイイものに思えてきます。

小さな不正を繰り返す小悪党にばかり目を奪われていると、
合法的な巨悪の存在が見えなくなりそうで恐ろしい。

「不正だからダメなんだー」なんて考えなくても言えますから楽ですが、
立法権を持つ彼らについて論ずるときには「なぜ不正なのか、なぜ正しいのか」という部分から考えないと意味がないと思います。

「不正」と言われていることを、明日から「合法」にする権利を持っているのですから。
マスコミは、合法になった日からバッシングをやめるんでしょうか。


あ、話がずれた。

で、博士コスト=1億円の話。

戦時中の特攻隊でさえ、「初期はパイロット1人の養成に2000万円かかった。それを死なせるのだから、経済的・戦略的に見ても特攻隊は巨大な無駄」と言われているわけでして。

博士のニート化は特攻隊を上回る経済的・戦略的ムダかもしれません。
個人から見たら「選択の余地があった」と言う点で特攻隊とは状況が異なりますが、
国家の視点で見ると「増員を望んだ」という点では共通しています。
「増員したのはいいけど、その活用方法を考えていない」という点でも共通しています。

「日本に職がないなら海外へ行けばいい」という声も耳にしますが、
それはつまり
「日本で育てたパイロットを米軍のパイロットに」させるようなものなわけです。
それって戦略的にどうなの??


戦略を考えるのが苦手なら、戦略のプロに任せたほうがいいんじゃないですかね。

国政ごとマッキンゼーとかBCGとかに委託しちゃえ。

委託料は高いですけど、それ以上のコストカットを実現してくれますよ、きっと。
マッキンゼーが東大の事務費を3割も削減したのは有名な話。

実際にマッキンゼーはマレーシアを国家ごとコンサルティングしたりしているわけで、「国政委託」もさほど突拍子もない案ではないはず。

ただ、コンサルが出した戦略が優秀でも、組織のリーダーに実行力がなくて失敗するケースもままあるのも事実。

タテマエだけは、大学の運営に国は命令権を持たないことになってますし。

権限ごと委譲するか、もしくは優秀なコンサルタントを大臣・役人に引き抜けば良いと考えられます。

政治は国のコンサルティングなわけですから、役人や政治家は本来コンサルタントと同等orそれ以上の能力を持っていて然るべきです。

年間900万円程度に目が奪われる人を登用してはいけません。

トップクラスのコンサルタントは億単位で報酬を受けているわけですから、
日本では首相でさえ年収4000万という報酬体系自体がおかしいとも考えられます。

議員も院生も、数を半分にして、浮いたお金を残りの人への給料にする。
そうすればもっと現状は改善されるんじゃないかと妄想してみたり。

『生化学 若手の会』雑感(2):先生方のメッセージ

今回の「若手の会」では、「海外留学ってどうなの?」というテーマのもと、
海外でPIを務めたor務めている人々のお話を聞くシンポジウムがありました。

海外事情に加えて、それぞれの先生の「学生へのメッセージ」が加えられており、
しかも皆さん仰ることが異なるので興味深く聞いていました。
4時間があっという間でした。

以下、特に印象に残っていた先生方の紹介とメッセージ。


●白楽ロックビル先生

『博士号とる?とらない?徹底大検証!』などの啓蒙書で知られる人。

実は私、この本の書評を7年前(高校生のとき)にネット上で書いたことがあり、
今ではその書評が白楽先生のHPに転載されています。
大変恥ずかしいです。
転載されるとわかっていたらもっとマジメに書いたのに・・・。

何にせよ、当時から白楽先生のファンだったので、今回挨拶を交わすことができてとても嬉しく思いました。

メッセージは;

「熱く生きよ!」

「今、面白いことをしろ!」





●近藤久雄先生

熱い人でした。
「熱く生きよ!」なんて言葉にしなくても、
全身から熱いオーラが出ていました。

私が文字にしてもその熱さは全く伝えられないので残念です。
それでも備忘録的にメモしておくと;

「ポスドクになったら分野を変えること。単なる競争ではなく、『誰もやっていないこと』をやること。博士課程までの分野と、ポスドクでの分野を融合させることで、オリジナルな分野が開ける。」

「分野を変えても、基礎力があれば何も問題ない。」

「『速い頭』より『強い頭』」

「考えるプロセスを大切にすること!」

「日本の研究者たちは、『将来は独立しよう』と思っていないように思う。PIは独立心がなければ無理。」

「いま何をすべきか、を能動的に考えよう」

「英語は心配しなくていい。重要なことを話していれば、相手は必死で聞いてくれる。」

「海外から機器を持ち帰る時、日本の税関はベラボーな関税をかけてくる。
関税はいかなる研究費からも補填できないので、機器を日本に持ってくるのは大変。」

「『留学なんてしたくない』という人ほど、留学すると居座る傾向にある。
なぜなら、そういう人ほど日本的な考え方を持っており、
その方が渡英・渡米したときに「おもしろい考え方だ」と尊重してくれるから。」

「イギリスの給料は安い。でも事務仕事はやらなくていい。」

「自分の研究人生のために妻の人生を犠牲にしてきたことには罪悪がある」

「常に『本質とは何か』を考え、個性を出すこと。」



●島岡要先生
ハーバード メディカルスクールのラボでPIを務めていらっしゃる方です。

この先生だけ英語で講演をされました。

その理由;
「みなさん、留学をするときに、英語力が心配でしょう?
私も心配でした。
でも私は当時、ある日本人PIの人の英語を聞いて、
『この程度の英語力でもPIができるなら僕にもできるはず』
という不遜な自信を持ってしまったんですね。
そこで今回は、皆さんの恐怖心を取り除くために、
私がその時の様子を再現しようと思います。
私の下手な英語を聞いて自信をつけてくれれば幸いです」


天晴。
確かに英語は上手ではありませんでしたが、
それを自覚しつつも「学生に自信をつけてもらうため」にあえて下手な英語を披露する先生には初めて会いました。
その勇気には感服します。

あと、この先生はPIを務めるにあたって
経営学の勉強もされているそうです。
曰く「ビジネスの経営理論はPIの運営にも通じる」

ドラッカーなどの著書を読んでいるとか。
とても共感がもてました。

メッセージは
「Strength-Based Approach」。
ドラッカーの主張の一つでもあるようで。

「弱みを埋めるのではなく、強みを生かせ」


うーん、でも自分の強みってどうやって同定すればいいんでしょう。
自己分析っていってもねぇ・・・

同定した後も、その強みが必ずしも研究に役に立つものとは限りませんし。


●野水基義先生

キリン、NIH、カナダ国立研究所、北海道大学、東京薬科大学などで研究された経験のある方です。

その講演、もはや

神。

おもしろすぎる。
もう聴衆はずっと笑いっぱなしでした。

研究者のM1グランプリがあれば間違いなく日本一です。

メッセージは

「研究に笑いを!」

。。。


多様性バンザイ。

『生化学 若手の会』雑感(1)

『生化学 若手の会』に行ってきました。

著名な研究者の講義があったり、
海外留学についての延々4時間にわたるシンポジウムがあったり、
ベンチャーを目指す人のためのワークショップがあったりしました。

「醍醐味は、学生同士が夜に語り合えること」と、HPには書かれています。

いやいや。
醍醐味というか、もはやこちらがメインでした。
全プログラムの4割が交流会(=飲み会)の時間。

「勉強をダシにした交流会」という、先輩の言は間違っていませんでした。

そして実際、講義やワークショップなどよりも
この交流会の意義の方が大きかった、というのが個人的な感想です。

魅力的な人たちとたくさん知り合えました。

「これから新聞社に入って科学記事を書きたい」という人。

「タンパク質のフォールディングを網羅的に調べられるシステムを開発したい」という人。

「ベンチャー企業に投資するだけではなくて、経営を学ぶ機会も提供したい」という、
ファンド系志望の人。

アツい人が多かったように思います。
進路も多様だったので、将来は興味深い話が聞けそうで、今から楽しみです。

ある人は、学部2年生にして院生よりも生化学に詳しくて、自分なりの生命観も持っていて、将来のヴィジョンも描けていたので、軽く衝撃を受けました。
尊敬できる人が年上だけでなく年下にも多くなる年齢になってしまったんだなぁ。


私のこのブログを読んでくれている人にも会えました。
ほんと狭いですね、この世界。

ブログのことには一言も触れなかったのに、
「生成文法に興味がある」という点だけで推測したらしいのですが。
そもそれですごいな・・・
その人もエッシャーが好きとかで、何か通じるものを感じてしまいました。


この『若手の会』、かなり歴史が古いようです。
私の父も参加したようで。

当時の『若手の会』は、何人かの高圧的な人々が勝手に場を仕切っていたようで、現在とは様子が違ったのであろうと思わせました。

今回のスタッフは(参加者も)高圧的な人など皆無で、むしろ「もう20代も後半なんだから、もう少ししっかりしてもいいのでは・・・」という人も珍しくありませんでした。
まずは敬語の復習から始めてはいかが、という人が多数。
彼らがそんなことで企業から「社会性がない」と思われていたりしたら損だなぁ、なんて思ったり。

終始、「のんびりまったり」。
まさに現代の若者。


父の世代で「勝手に場を仕切っていた人々」は現在、大学の学長などになっているようです。
当時は、ほぼ全員が「院生→助手→助教授→教授→学部長→学長」コースを歩むであろうことが前提だったのでしょう。
全員がライバル状態。

現在の「若手の会」では将来の職が多様です。
記者、コンサル、ベンチャーキャピタル、人材育成、コミュニケーターetc。
「研究者としての職は少ない」ことが周知の事実になったことで、研究者以外の道を模索する人が増えたのかもしれません。
お互いに、ライバル意識は皆無でした。
国際競争で生き残るためには芳しくないようにも思われますが。

また、むやみに研究者の職を増やすよりも、
研究以外の職に理系院生が浸透できる状態のほうが
社会全体としては発展性が大きいのかな、とも思います。
アカデミアの知恵を社会に還元しやすいでしょうし、
社会もアカデミアに働きかけやすくなるでしょう。

今回の参加者は将来どのような人々になっているのか、想像してみるのも一興です。

動かそうと思うと動かせない、神経義手

あるBMIについての記事を読んで、自分がBMIの実験に参加したした時のことを思い出しました。

いわゆるニューラル・プロスセティクス。
腕を失った人でも、「腕を動かそう」と思えば動かせる義手を作ろう、というもの。

私はコントロールとして参加しました。
腕に電極を当てて、fMRIの中に入り、ロボットアームを動かすのです。

手を動かすと、その信号を電極が受け取って同じようにロボットアームの手が動きます。

このとき、
1) 義手を見ながら手を動かす場合と
2) 義手を見ずに手を動かす場合の
2種類を実験しました。

不思議なことに、私の場合、義手を見ながら手を動かすと、義手がうまく動きませんでした。
(ちゃんと動く人もいるらしいです)

「この義手を動かそう」と思えば思うほど、動かなくなるのです。

で、義手を見ずに手を動かすと、ちゃんと義手は動きました。

何とも不思議です。
「手を動かそう」と思って動かす時の信号と、
自然に手を動かす場合の信号は異なる、ということでしょうか。

いつもはうまくいく実験も、誰かに見られていたりして自分の手を意識すると失敗することがあるのもこのせいか(違

階段を下りている途中で、「あ、次はどっちの足を前に出せばいいんだっけ」と急に思い出すと転びそうになったり。

・・・ないですか、そうですかorz


この実験は、「注意」というものが存在する間接的な(そして弱い)証拠のようにも思います。

MRIの画像がどのように異なったのか、興味深いところです。

あと、「手を動かしたいけれども動かしてはいけない」という状況では腕がどう動くのかも興味深いところです。

「動かしてはいけない」と思っているときには確実に動かないようにしておかないと、人によっては電車に乗るたびに意図せずして痴漢になってしまう可能性も否めず。


FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。