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温暖化でマラリアのワクチン開発が促進される?

マラリアって、いまだにワクチンが存在しないんですね。
恥ずかしながら、最近知りました。

以下、マラリアを特集している7月号の National Geographic より。

・マラリアは現在、106カ国で流行中。史上最悪の規模で猛威を振るっている。

・今年だけで、マラリアで5億人が感染し、100万人が死亡する見込み。
この数は、20年前と比べて2倍以上である。

温暖化が進めば、日本や欧米地域にもマラリアが広まるだろう

・蚊に一度刺されるだけで5万のマラリア原虫が流入する。
しかも、人間の生命を奪うのには、マラリア原虫1匹でも事足りる。

・マラリアの感染・発病経路は以下の通り。

1) マラリア原虫が肝細胞に到達する

2) 1週間で感染時の4万倍に増殖し、原虫で飽和した肝細胞が破裂する。

3) 破裂した原虫は再び血液に侵入。2日間、赤血球の中で増殖する。

4) 赤血球も破裂し、血液中にまた大量の原虫が放出される。

5) ここで初めて免疫反応が開始されるが、増殖は赤血球内で行われるため、効果がない。

6) そのうち、何億というマラリア原虫が体を埋めつくす。

7) 症状として、脳マラリアや、赤血球不足による酸欠がおこる。

8) 背中を弓なりにそらせ、手足を硬直した状態で意識不明に陥る。


・1950年代、WHOはマラリア撲滅を掲げ、DDTを散布しまくった。
これは大きな効果を上げ、バルカン・台湾・南太平洋地域では実際に撲滅された。
しかし資金が枯渇したことで計画は頓挫。その後、またマラリアは増えることになる。

・また、DDTの環境汚染効果が判明し始めたため、今では対マラリア用に使おうにも入手が困難である。

・寝る時に蚊帳を使うだけで、感染確率は半減する。
(ちなみにこの蚊帳、日本の住友化学のものが世界第一級らしいです。日本の技術が世界に貢献できている一例として、北岡伸一 元国連大使が紹介していました)

・マラリアに対するワクチンは一つもない。
ウイルスの遺伝子は少ないが、マラリア原虫の遺伝子は5000以上。
しかも潜伏する器官を頻繁に変えるため、ワクチンの設計は困難を極める。

・現在、世界で90の研究チームがマラリアワクチンの開発を進めている。

英国政府は、開発が成功したらワクチンを大量購入し、必要な国に寄付すると公約している。
グラクソ・スミスクラインは米軍と共同研究しており、ワクチンの有力候補を開発した。

・「サナリア」という名前の製薬会社は、マラリアワクチンの開発のみを手がけている。
社名の「サナリア」は「マラリア(瘴気)」の反意語で、「清浄な空気」の意味。

14年の研究の末、開発された薬に自信を持ったCEOは、自らそのワクチンとマラリア原虫を自らに投与
しかし、見事にマラリアを発症していた。

・今でも、サナリア社では世界中から集まった30人の研究者が研究を進めている。

(以上)

意外でした。

「世界中で90の研究チームがマラリアワクチンを研究している」という点。

こんなにあるとは思わなかったんですよ。

「マラリアや住血吸虫症など、貧しい国々で流行している疫病に関する研究費はゼロに近い」
(Joseph E Stiglitz, “Making Globalization Work” 2006 , Chapter 4より)

と聞いていたので。
(スティグリッツ氏は、製薬会社による製造権独占を批判しています)

もちろん、これだけ多くの人が苦しんでいるにもかかわらず、世界で90しか研究チームがないとも言えます。

マラリアワクチンの研究「だけ」をしている会社でさえ、研究者の数が30ということも象徴的です。
30って、私が所属する研究室の人数より少ないではないですか。

マラリア研究をしている人は世界で1000人に満たない可能性もあります。
世界には研究者が300万人以上いることを考えると、やはり割合として少ないと言えましょう。

遺伝子が5000以上あることが困難の一因と本書では述べられていましたが、
研究者の数と金さえ投入すれば大きな問題ではないように思ってしまいます。
がんとは異なり、明らかにマラリア原虫は「非自己」なんですから、
体からの排除は原理的に可能なはずです。
(素人考えですが・・・)


「温暖化により日欧米にも広がる」
ということが懸念されていましたが、これは人類全体として見るとむしろチャンスかもしれません。

日欧米にマラリアが広がったら、研究チーム数は90どころではなくなります。
(自分に原虫を投与するような涙ぐましい研究者も増産されるはず)

研究資金も、「ほとんどゼロ」どころか、何兆円規模で投入されるはずです。
(WHOのマラリア対策費は、資金を搾り出しても1200億円どまりでした)

ワクチンくらい、そのうちできますって。


実際、遺伝子組み換えジャガイモの中には、害虫に存在する特定の遺伝子だけを攻撃してその害虫を駆除するものがあるじゃないですか。
その虫だってかなりの数の遺伝子を保有しているはず。
ジャガイモでできるならマラリアでもできる!(根拠薄orz)

(そういえば、蚊そのものを撲滅することってできないんだろうか?
蚊って生態系に重要なの??)

無論、現在のHIV薬などがそうであるように、国や会社が特許を主張して結局そのワクチンが途上国には届かないという事態は容易に考えられます。


それでも、イギリスはその会社から大量購入して必要な国に分配すると言ってくれているのですから、現状よりはマシになるでしょう。
(帝国は植民地にそれくらいのことはしてくれなきゃね)

また、先進国自身が深刻に苦しみ始めたら、各国政府が強制特許を行使して、どの会社でもその薬を作れるようにすると考えられます。
そうしたらその薬の値段はコスト+αくらいにまで下がります。


温暖化は、もしかしたらマラリアワクチン開発へのチャンス、なのかもしれません。
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コメント

ときおり,訪問させていただいています.私は,熱帯地域でフィールド研究をしているのですが,マラリアには5回罹患しました.マラリアは治療薬さえ飲めばそれほど恐ろしくない病気です.

さて,私が引っかかったのは,マラリアワクチンが開発されることが,「人類」にとってよいことなのかどうか,という点に関してです.もちろん,じっさいにマラリアを患い,ときには亡くなってしまう人々にとっては,ワクチンの開発はよいことでしょう.しかし,マラリアによって若干抑えられていた途上国の人口増加は加速度を増し,貧困層は今以上に多くなることが予想されます.途上国の混乱が増すことは,「人類」にとっていいことなのか,あるいは「人類」にとって無関係なことなのか.

ちなみに,私自身は「人類全体にとってよいこと」という価値観をなによりも優先することは,得られるものよりも失うもののほうが多いと考えており,ぜひワクチンを開発してほしいとおもっております.

>とおりすがりさん

コメントありがとうございます。
5回もマラリアに罹患されたとは、驚きました。
その行動力と勇気に感服します。

「人類」にとってよいのか、とのご指摘、ご尤もだと思います。
ここでは単に、マラリアで死亡する人口が減る、という単純な基準だとお考えください。

ただ、私は「マラリアで人口が抑制されているから良い」とも考えておりません。
マラリアは貧困の一因であり、貧困であるからこそ子供を多く生もうという意思が生まれてしまう一面があります。
マラリアで死にやすいから多めに子供を作っておこうという人もいます。
実際、経済規模と子供の数は明確に反比例します。
移民が増加しているアメリカを除き、先進国は軒並み出生率が低下していることからもわかります。

よって私は、人口抑制のためにも、貧困の一因であるマラリアの治療薬は必要であると考えます。
無論、マラリアの潜在地域であっても、良い政治によってマラリアが抑えられている国もあるため(マレーシアなど)一概に「薬さえ作れればよい」とも言えないところが難しいのですが。

湿地帯をなくすべきか?

マラリアという文字を見て、明治時代の北海道(←冷帯です。実際、明治35年1月25日の北海道旭川市の最低気温は、氷点下41.0℃でした)の十勝地方で、マラリアが流行していた事を思い出しました。日本航空の下記サイト参照。
http://www.jal.co.jp/dom/city_info/japan/obo/

 このように、昔は、温帯や冷帯でも、マラリアは流行していました。まだ、開発が進んでなく、原生林や湿地帯が広がっていたから、マラリアが流行していたのではないかと、私は疑っています。
 というわけで、本当に、マラリアを根絶したいのだったら、原生林や湿地帯を開発し、乾燥化させるべきかもしれないということを、ふと考えてしまいました。

>氷点下41.0℃さん

コメントありがとうございます。
北海道でマラリアが流行していたことがあったとは知りませんでした。
興味深い情報ありがとうございます。

マラリアを根絶するためには湿地の存在が邪魔であるという点はNational Geographicの中でも触れられていました。
環境保全(湿地保全)のための条約と、マラリア対策が衝突するため、湿地の乾燥化は難航しそうです。

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