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一般向け科学書の影響力

今週のnatureのnews and views(vol 448, pp263)に、統合失調症についての小総説がありました。
Neuronに掲載された一連の論文が中心となっています。

で、この記事をまとめようとしたら、このNeuronの記事は2ヶ月前に自分でレビューしたものだということに気づきました。

内容を完全に忘れていた自分にショック。
「書けば理解が深まる。書けば忘れない」
がブログを始めた動機だったのに、あまり達成できていないようです。
しくしく。

でもまぁ、これで「忘れていた」ことは思い出せましたし、
自分のレビューは相当読みにくいこともわかりました。
かなり簡潔にまとめているつもりなのですが。



この記事に目が留まったのは、ちょうど自分が考えていたテーマだったからです。

この記事の見出しは:
「人間固有の精神病を、遺伝子を改変したマウスで解明することはできるか?できる!」


つい先日、法学部出身の方々に「マウスを調べて人間がわかるのですか?」という質問をされ、うまく説明できなかったことが悔やまれたので、この見出しは魅力的でした。

「この統合失調症マウスの話をすればよかったかな」

とも思いましたし、

「いや、この話をしたところで『結局その現象は人間の精神を模倣できているのか不明じゃないか』という点については説明できない気がする」

とも思いました。
どうなんでしょう。
彼らの質問はもっと根本的のようにも思います。



素人の方々からの質問に答えることは、「物事の本質だけを簡潔に伝える」訓練になります。

今回は他にも、
「DNAの配列はどうやって調べるのですか」
「遺伝子はどのように組みかえるのですか」
「タンパク質のような小さいもの、どうやって見るのですか」
などの質問をされました。

シークエンスの方法など、サンガー法を簡単に説明する自信がなかったので、
「電子顕微鏡で見えますから」
と、テキトーな答えをしてしまいました。

実際、サンガー法が開発される前は、DNAの配列を電子顕微鏡で直接読み取っていた時期もあるため、あながち間違いではない、ハズ。
(言い訳)

今考えれば、
「DNAの文字の一つ一つに異なる色をつけて、先っぽから一つずつ切り出してその色を見ることでわかります」
と言えば、(かなり間違っているにしろ)大まかなサンガー法の説明にはなったかな、
なんて思います。


制限酵素でなぜDNAが切れるのかという質問など、
量子力学まで入り込んでしまうため、もうどうやって説明していいのやら。



彼らは、銀行、鉄道会社、電力会社、電機メーカーの社長や取締役でして、普段は神経やDNAの話など全く関係ない仕事をしてらっしゃいます。
なぜ神経の話にこんなに食いついてくるのか疑問でした。
よくよく聞いてみると、彼らの一人は池谷裕二さんの著書を読んで興味を持ち、他の人は茂木健一郎さんの著書を読んで興味が出てきたとのことでした。

池谷さんや茂木さんの社会的影響力は意外に大きいのではないか、と思ったものです。
同時に、理系の研究者に対しての間接的な影響力も無視できません。
往々にして、理科系の研究に出資するのは文科系の組織・人間だったりしますから。
(あ、企業幹部の皆さんに会いに行ったのは出資願いのためではないですw)

同時に、エセ科学を流布させている人々も、社会的影響は同等(かそれ以上)に大きいはずです。
となると、マトモな研究者がマトモな一般向けの本を書いてくれることは、かなり意義が大きいように思えてきます。
少なくとも選択圧が増加します。

「研究者は、本なんて書いてるヒマがあったら実験して成果を出せ」
という声はどこにでもあります。
しかし科学全体に対する世間の理解を深めてもらうには、彼らの存在は貴重です。


まぁ、私の場合、
「学生はブログなんて書いてるヒマがあったら実験して一人前になれ」
という言葉に対して何ら反論する根拠も意思もないのですが。
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コメント

blogを書かれている研究者も多くなってきましたが、学生のうちから問題提起や自分の考えを標したり、内容の善し悪しは置いとくとしても情報の発信者となっていることは尊敬に値します。

:

コメントありがとうございます。そう言っていただけると大変励みになります。
内容には稚拙な点が多々見受けられると思いますので、ご指摘頂ければ幸いです。

驚いた部分
「実際、サンガー法が開発される前は、DNAの配列を電子顕微鏡で直接読み取っていた時期もあるため、あながち間違いではない、ハズ。」

電子顕微鏡で塩基配列が読めるんですか?
しかもサンガー法が開発される前の技術で??
知りませんでした・・・。

電顕で読めるなら普通のシーケンサーで読むより早くて正確そうな気がしてしまうのは僕だけだろうか。
サンプル調整とかが律速段階??
うーむ。

Ozさん

コメントありがとうございます。
私もその話を聞いて、実際の写真を見たときには驚きました。
「読む」というよりは「見る」に近いです。
アデニンに標識をして見ていると聞きました。
しかし、何本ものDNAが一度に重なって見えてしまっている上、
DNAの方向性もわからず、配列も「目」で読まなければならないため、
サンプル調整の時間を差し引いてもなお
サンガー法のほうが圧倒的に速くて正確だと考えられます。

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