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【論文】交渉で "Yes"と言わせる薬:オキシトシンで信頼度アップ

オキシトシンを投与された人は他人を信用するようになる
Oxytocin increases trust in humans

Nature 435, 2 Jun 2005

この論文が発表された当時、The Economistには
「交渉でYesと言わせる薬」
のようなタイトルで記事が載っていた覚えがあります。

それがオキシトシンだったとは。


一文一文が新鮮な論文でした。
オキシトシンという分子レベル・生理学レベルの話をしているのに、
人文系の論文を読んでいる気にさせます。

最初の一文から社会科学的です。
Trust pervades human societies.
しかもこの一文に2つも引用文献をつけています。

こんな当然のことに引用をつける必要はあるのでしょうか??
「DNAは二重螺旋である」という一文にワトソン・クリックの論文を引用するような不自然さを覚えます。


実験は「株主と企業」の関係を個人レベルで落としたようなゲームでした。

1) 株主役の人は企業役の人に一定のお金を投資。
2) 企業役が持つその資金の数倍のお金を、著者が企業役の人に与える。
(これは企業が市場で利益を出したことに相当)
3) 企業役の人が、持ち金から好きな額を株主にあげる(配当に相当)


要するに、株主としては「どれだけ企業を信用できるか」によって
投資額が違ってきます。
信用できない企業役には投資しない、
100%信用できるなら、資産を全てを投資する。

(論文中に「泣きっ面に鉢add insult into injury」という
口語表現も出てきて、読んでいて楽しいこと限りなし。)


このゲームを真剣にやってもらうため、
被験者たちは本当にお金がもらえるシステムになっています(いいなー)。


結果はお察しの通り、
オキシトシンを投与されたグループの方が、
偽薬グループよりも投資額が多くなりました。


ちゃんと反論対策もしてあります。

「単にリスクに対して鈍感になったわけではない」
ことを示すため、コントロール実験を行っています。

コントロールでは、同じ実験を「ランダムに裏切るコンピューター」を相手にさせました。
つまり「信用」という概念が通用しない相手です。

このコントロール実験では、
オキシトシン投与グループと
偽薬投与グループで差が見られませんでした。

つまり、リスクを恐れなくなったわけではなく、
「人を信用するようになった」のだ、と。



なるほど。


今回は一回きりの実験でしたが、
長く続けるとどうなるのでしょうね。

いわゆる「囚人のジレンマ」問題も、
一回だけのゲームなら両方が裏切りますが、
ゲームを連続してやらせると、そのうち両方が
相手を信用するようになってくることが知られています。

長期的な影響も興味あるところです。



それにしても、本当にこの薬を交渉に使ったところで、
もしバレたら逆に信用ガタ落ちな気はします。




以下トリビア。

Methodsも、通常の分子系実験と全く異なっていておもしろい。

最初に集められた194人の学生の中には、
「このゲームをする相手が本当に人間だと思えない」という不信感を表明し、
実験対象からはずされた人もいます。

この人たちに最初の実験をやらせれば、
コントロール実験と同じ結果が出たのでしょうか。
それ以前に、この人たちにオキシトシンを投与すれば
この実験を信用してくれるようになったのかも興味深いところです。


ちなみに被験者にあげた額を概算してみると;

128人の対象者に、各々80スイスフラン+ゲームの儲け。
80スイスフランは約8000円なので、この実験のために100万円以上かかってます。

・・・意外に安いですね・・・。
キムワイプ100箱分ですか。

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コメント

うぉぉぉー。

キムワイプ、高いからティッシュのように使っちゃだめ!といわれ続けておりましたが、
そんなに高いとは!って、別のところに驚いていたり。
しかし、この実験は面白いですね。

>かげ

そうなんです、キムワイプのことは僕も最近知りました。
店頭で。
ケタを見間違えたかと思いましたね。

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本当に存在した、「自分を信頼してもらう薬」

以前、natureの「オキシトシンを投与されると、他人を信用するようになる」という論文を紹介しました。本当に交渉の場で使ったら顰蹙モノですね、なんてコメントを冗談半分でしていました。が。さすが

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