スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

アクアポリンを利用した水浄化

前エントリーとは逆に、
市場中心の研究も悪くないな、というお話。


アクアポリン、というタンパク質があります。

2003年のノーベル賞ネタなんですが、意外に知られていません。

膜タンパク質で、細胞内外に水を高速で通す性質を持っている、水チャネルです。

最初に見つかったアクアポリン1は、1秒間に水分子を30億個も通します。
(e.g. ヒトであれば、1日に全身で300リットルもの水を透過しています。)

しかも、イオンはおろかプロトンさえも通さないという、驚異的な選択性も持っています。
(最近になって、他のアクアポリンは水の他にもいろいろ通すことがわかってきました)


で、この「水の高速透過」と「強い選択性」に目をつけた会社がありました。

デンマークの会社なのですが。

その会社は、「アクアポリンは汚水の浄化に使える」と考えたのです。

アクアポリンが埋め込まれた膜でフィルタライズすれば、
純粋な水だけが高速で透過する、というしくみ。

そのアイディアを見たとき、「賢い!」と思いましたね。

まさに世界のニーズと合致しているからです。

21世紀は、石油戦争と並んで水資源を巡る戦争も危惧されています。

世界中で、水の需要が急増しているからです。

水が豊富にあるといわれている日本でも、ミネラルウォーターの需要は上昇。

世界全体で工業が発展するにつれ、工業用の純水の需要も高まります。

発電にも純水は欠かせません。

また、途上国では10億人以上が浄水を利用できない状況にあります。

ユニセフなどが貧困対策に使うコストのうち約半分が「水の浄化」で占められています。
(人件費も、ワクチン費も、輸送費も、それぞれ1割程度でしかありません。)

井戸が自宅から10kmも離れているため、水汲みで往復するだけで1日が終わってしまう子供達も多く、彼らは教育も受けられません。

アラル海は水のくみ上げすぎで消滅寸前。

コカコーラ社は、インドで1リットルのコーラを作るために9リットルの水を使用し、民間人の水補給を圧迫していることから非難を浴びています。

日本も他人事ではなく、ミネラルウォーターだけでなく、農産物や畜産などの輸入は同時に水の輸入であることも念頭に置く必要があります。
輸入先では膨大な水を使って農産物や家畜を育てているわけで。
(牛肉100gにつき2トンの水が必要とされています)


要するに、世界中で水の争奪戦になるであろうことはほぼ確実。

そんな時代にあって、「低コストで確実な浄化装置」はとても魅力的です。

その会社の担当者と直接話す機会がありまして、その人曰く、

水浄化の市場は年率8%で増加している。いまや30兆円規模だ。」

「我々のフィルターの水選択性は99.999995%。現在存在する浸透圧浄化フィルターの1万倍の精度だ。」

「コストも安い」

「5年間で売り上げが2倍になったゼ」

「既に特許も10件以上取っている」

「ライバルは、同じデンマークの会社だ」

ほほー。

商売気たっぷりでしたが、しかし確かに画期的な発想ではあると思います。

イオンを通さないということは、海水から純水を作れるということ。

雨水からの浄化も容易でしょう。

あとは、タンパク質なので、分解その他が心配ですが。

私も同種のタンパク質を扱っているわけですが、
この会社のような発想ができると、純粋な好奇心の充足とはまた違う達成感がありそう、とも思います。

「私の発明が水資源の争奪戦争を阻止したんだ」
って思えたら、不遜ではありますけど、自己満足には浸れそう。

だからといってベンチャーを立ち上げる気はなりませんが。



あ、
ナノテクノロジーで、アクアポリンを模倣したフィルターって作れませんかね。

高速透過のためのファネル構造と、
水選択のためのNPA配列を模したフィルター。

・・・無理かなぁ。

ナノテクノロジーは日本のお家芸かと思っていたら、
アメリカのナノテク予算がここ数年で指数関数的に上昇していて、
既に抜かれてしまっている感もあるようです。

大丈夫かなぁ、日本のテクノロジー。
スポンサーサイト

コメント

つまらぬ疑問ですが

アクアポリンが実用化されているなんて、びっくりです。

膜タンパク質が利用されているなんて初耳でした。というより、教科書の文脈などから、まだ生体膜の実用化は無理と勘違いしてました。

「アクアポリンが埋め込まれた膜」っていうのを、どうやって作るんですかね?もしかして、生体膜から抽出するとか?

>かずくん

いやー、僕も詳しいことは知らないんだよね。
どうやって作るのかは企業秘密って言ってたし。
ちなみに『生体膜』ではないので、やはり生体膜の実用化はまだ無理なのでは。

pure water

純水ってそのまま飲めないから、売る時は、今はやりの深海ミネラルでもいれますかね。。。

>ligeiaさん

コメントありがとうございます。
いいですね、深海ミネラルw

実際、ユニセフは栄養入りの生理食塩を水に溶かしてこどもに飲ませています。
食塩そのものよりも、現地で水を浄化することに気を遣うようで。

奇しくも今日、アクアポリンに関する新聞記事を訳せ、とバイト先のしゃちょーさん(ハンガリー人)に言われました。。

さっぱりわかんなかったなー。

日田天領水?っていうミネラルウォーターの会社の全面広告記事だったのだけど。

HILOKI氏に丸投げすればよかったです(苦笑)

>naoさん

あはは、その水、学会で売ってました(笑
世界級の学者を前に、こんな水を売れるなんて度胸があるな、なんて言ってましたw

ちなみに、ハンガリー語で「水」は「mizu」らしいです(ほんと?

アクアポリン関係の訳なら任せてくださいw

mizu?!
それは知らなかった~調べてみよ。

ハンガリー語の文構造は日本語に似てるらしいということもあるし・・・
(いちおうマジャール人ってアジア系だし)

じゃあ次に科学系の文章の訳が来たら丸投げしますw

日田天領水はすごく売れているらしいよ。
(うちのママン談)
味は普通なんだけどねー。

以前、数学者(かつジャグラー)のピーター・フランクルさんという人にお会いしたことがありまして。
その人、ハンガリーの出身なのですが、「水」と「塩」だけはハンガリー語と日本語で音も意味も同じだとおっしゃっていました。
分構造も似てるんですね。

科学系といってもとっても広いので不得意分野はきれいな日本語になりませぬ・・・
(「文科系の翻訳は任せて」なんて言う人がいたら「?」と思ってしまうのと同様でして)

天領水、売れてるんですか。僕には違いがわかりません(^_^;

ゼブラ会を使っての水の浄水について。

いま問題になっているゼブラ貝で浄水をやってみたいと思っています。
バングラデッシュに住んでいるのでひょっとしたらと考えています。

>森川博史様

コメントありがとうございます。
貴ブログ、大変興味深く拝読しました。
浄水技術に関しては今後確実に伸びると考えられます。2010年の水市場は100兆円を越えるそうですし。
森川様の活動、応援しております。

はじめまして。hiroと申します。
Wikipediaでたまたまアクアポリンの記事を見て、私もこの仕組みを使って浄水器のビジネスができるのではないか!!と思いつき、googleで検索したら、このブログにたどり着きました!
もう、すでに実用化を目指している会社があるのですねv
前々から、水ビジネスに着目していまして、これから水の需要はますます高まっていくと思います。
僕の理想では、誰でもどこでも簡単にきれいな水を手に入れられる技術や仕組みを作り、少しでも多くの人たちを汚水による病気や感染症などから守ることができたら幸いだと思っています。
このデンマークの会社は、日本でも特許申請しているのでしょうか?
もししてなかったら、日本でもアクアポリンの仕組みを利用して純粋を生成する手法を考えて起業しようと思っているのですが、さすがに専門がIT技術なのでこれから勉強が必要です。
HILOKIさんは、物理学から、分子生物学、脳科学まで学んでいらっしゃるのですね。
私も量子物理学や宇宙物理や脳科学に非常に興味があります。大学院では、量子力学を応用した移動ロボットの人工知能の研究をしていました。
今後ともよろしくお願いいたします。




>hiroさん

コメントありがとうございます。デンマークの会社と同じことをお考えとは、すごいですね。水のビジネスはこれから本当に伸びると思います。2010年の市場規模は100兆円らしいですし。
日本で特許が取られているかどうかは過分にして知りませんが、東レがナノ繊維を使って同様のフィルターを開発しています(アクアポリンは関係ありませんが)。世界の水浄化ビジネスのほとんどを牛耳ったのではないかと言われるほどのインパクトだったらしいです。
hiroさんは量子力学もされていたのですか。私も中学・高校時代には大統一理論の構築を目指していましたw 大学に入って、とても無理と思ってしまいましたが。
お互い、これからも頑張りましょう。

さっそくのご返事ありがとうございます。浄水器は単なる思いつきなので、実用化しないと意味ないですがw
市場規模が100兆円なんてすごいですね!水は生命の源ですから、需要が桁違いなのは理解できます。東レがナノテクでそんなにすごいフィルターを開発してたんですか?!知らなかったですw
私も大学2年生頃に大統一理論を夢描いていましたw想像では、いくらでも思いつくのですが、実際に理論を証明するのは難しいですねwでも、感覚的には大統一理論はあると思いますw
HIROKIは、今は何の研究をされているのですか?言語脳科学ってどんな分野なんでしょうか?
人工知能の研究をしてましたので、ニューロンとか複雑系なども少しかじってました。世の中は知らないことだらけなので面白いですよね☆


コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURL:

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。