スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

オーストラリアの研究開発政策

9月号のForesightに、オーストラリアの研究開発体制の記事がありました。
日本のポスドク問題との対比もあり、興味深いものでした。

記事の要点は以下の通り;

・オーストラリア政府は、先進的な研究をする小企業に対する支援が厚い。その企業が投ずる研究資金と同額を上乗せ支援する。

・研究系小企業の社員はPh.Dの保有者が大半を占める。
Ph.Dを取った後に起業する人も多い。

・企業に対する研究助成金の中には、大学の博士課程院生を雇うための人件費が含まれている。
これにより、企業は基礎研究能力を向上させることができ、学生にとっては職業訓練の場となる。

・オーストラリアも日本と同様、「理科離れ」に苦しんでいる。
好景気だと理数系の進学率が落ちるのは日米と同じ。

・都市部にはハイレベルな子供向け科学博物館を建てたり、地方向けには「サイエンスサーカス」という移動実験室サービスを提供している。企画の中心となるのは院生。ただしその効果のほどはまだ不明。

・日本も高学歴・研究開発型の小企業を育成・支援すべきである。

(以上)

先のエントリーでインターンシップの効用を述べましたが、
オーストラリアでは既にインターンが研究界に組み込まれているのですね。

企業で働けば起業する意欲も沸くかもしれませんし、
小企業で働けば経営の基本的な枠組みくらいはつかめるでしょう。
給料がもらえますから、博士課程に進むときの金銭的な悩みも減ります。

これなら確かに、Ph.Dを持った社長・社員が多いのもうなずけます。

ただ、この記事からは、なぜ「小」企業に投資すべきなのかという論拠まではつかめませんでした。

大企業が高学歴化してもいいのでは?

日本では、大企業が潤沢な資金を背景に研究開発をすることが多いため、
そもそも個人が起業して研究開発をするメリットがあまりありません。
「研究が失敗しても会社はつぶれない」という大きな利点がある分、
新しいことをやるには大企業の方が有利だと考えられます。

加えて、日本では大学院よりも企業の方が体系的な教育体制が整っているため
「使える」人材にするには学部or修士からそのまま来てもらった方が良いという事情もあります。

その意味で、日本は日本でそれなりに調和の取れたシステムになっています。
ポスドク問題は、社会が変化していないのにドクターの数だけ増やすという歪みを加えたから生じた問題であって、いちがいに「ポスドクを生かせないこの社会はダメだ!」とも言えないように思われます。

小企業がたくさん出てきた方がよい理由としては、進化的な理由が考えられます。
いろんなコンセプトを持った小企業が多く出現すれば、その大半は死滅するでしょうが
一部には世界一級の企業も出現するでしょう。
環境がまずくなったときには突然変異をたくさん起こして、一部でも生き残らせるという生物の戦略と同様。

大企業ではなかなかこの戦略は取れません。
新規開拓が容易とは言っても、企業として一定の方針を持っているため、そこから外れた研究に手を出すことはないからです。

がしかし、ただでさえ安定志向の日本人。
東大・京大の学生が志望するのも安定大企業。
ドクターは言わずもがな。

アメリカ型の「99人を犠牲にして1人の成功者を」式の方式を成功させるのは難しい気もします。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURL:

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。