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2万分の1:新規化合物が新薬になる確率
某大手製薬会社の幹部と話をしてきました。
大学へ講演に来てくださり、その後の懇親会でいろいろとお話を伺うことができまして。
講演の一節に、製薬にかかるコストのことがありました。
日本の主要製薬会社18社の過去の製薬開発を見てみると、
1つの薬を開発するのに9〜17年、平均500億円がかかっているそうです。
2万種類の新たな化合物を合成しても、
臨床段階を通過するのが3種類、
申請段階に到達するのが2種類、
最終的に承認されるのが1種類。
平均して2万分の1しかないと。
以下、その幹部の人とのQ&A。
Q:この2万分の1という確率は海外でも同じなのですか?
A:およそ似たようなものです。
Q:この確率を上げるためにどのようなことをされているのですか?
A:会社ごとに、データのライブラリーを交換したりして、ネガティブデータの共有を図っています。
Q:交換されるライブラリーは等価値なのです?
A:そもそもライブラリーの形式などが会社によって全く異なるため、比較自体が難しい状況にあります。
まだ活発に交換されているとは言い難く、今後の課題となるでしょう。
Q:昨今、日本の製薬会社が海外の会社を買収する案件が続いていますが、あれもこの確率を高めるための戦略なのでしょうか。
A:戦略は各社によって異なるので、必ずしもそうとは限らないと思います。
自社の持っていない技術を買うためということもあるでしょうし、単純にマーケットを広げたいという意向で買収している場合もあります。
Q:一部の会社は、買収する会社自体が主目的ではなく、買収する際に抱える負債によって自社が買収されることを防ぐことが目的と言われていますが、そのようなこともありうるのでしょうか。
A:ありうると思います。実際には多くの思惑が絡んでいるので一概にどれが主目的かは断言できないでしょうが。
Q:今後も製薬企業のM&Aは進むと思いますか?
A:わかりません、進む可能性もありますが、国内の製薬企業は過去数年の吸収・合併のごたごたからやっと落ち着いてきたばかりです。
これからまたさらにあの喧騒に突き進むのはかなり勇気が必要かもしれませんね。
Q:やはり合併は大変だったのですか。具体的にはどのようなところが?
A:それはもう。大変なのは主に人事とシステムですね。
合併までの1年間は研究部門も研究に専念できていたわけではありません。
特にシステムが大変で、2つの会社のシステムを統合するのは一筋縄ではいきませんでした。
Q:今後、海外の製薬会社や他社のライセンスを買収することで、研究開発費を削るという方向性は考えられますか?
A:それはありません。
株主の方々からも同じような質問を多く頂きますが、研究開発費は会社の根幹ですから、ここの手を緩めることはありません。
Q:ありがとうございます。
ちなみに、御社が先ほどのように講演をしてくださるのはありがたいのですが、御社にとってのメリットはどのようなところにあるのでしょうか?
A:一つはCSR。ただ、CSRとは別に、製薬会社は社会との接点を失うと生きていけないと私は考えています。こういった場で皆様のご意見を頂ければ、必ず弊社の成長に役に立つと考えています。
(引用終わり)
統合時の人事の話をもっと聞きたかったのですが、さすがに憚れたので詳細は聞けませんでした。
合併時の人事は、こう言うと不謹慎かもしれませんが人間ドラマが詰まっているので興味津々です。
システムに関しては、「やはりシステムがネックなのか」という感想を持ちました。
都市銀行の統合の際にも、最後の最後までシステムが問題になっているようですし。
個人的には、今後も国内での製薬M&Aは進むと考えています。
国内1位の武田薬品でさえ世界10位に入れていない状況では、早晩国際競争から振り落とされるでしょう。
都市銀行があれだけ無理をして合併をしたのも、「今後の国際競争に勝つためには国内での小競り合いに終始している場合ではない」と判断したからでした。
ネームバリューが高いところであっても、今後はプライドよりも生き残りのための合併を選ぶ可能性も十分あると思います。
ただ、現在はどちらかというとマーケットの拡大や製薬分野の拡張など、「横の広がり」に巨額を投じている印象は否めません。
最近の主要案件は;
武田薬品:米ミレニアム・ファーマシューティカルを買収(88億ドル、約9000億円)
第一三共:印ランバクシー・ラボラトリーズを買収(約4000億円)
エーザイ:米MGIファーマを買収(39億ドル、約4000億円)
どれも、「製薬の確率2万分の1を改善するため」という方向にあるようには思えません。
苦手分野の強化、もしくは単純なマーケットの拡大に対して巨額を投資しています。
これだけ資金を消費してしまうと、国内の合併のための資金をどこから集めてくるのかという問題が起きます。
ただ、今後は会計の国際基準の導入によりのれん代を償却しなくて良くなるため、比較的合併はしやすくなるでしょう。
いつか私自身も、「2万分の1」を改善するための事業戦略に関わりたいと思います。
大学へ講演に来てくださり、その後の懇親会でいろいろとお話を伺うことができまして。
講演の一節に、製薬にかかるコストのことがありました。
日本の主要製薬会社18社の過去の製薬開発を見てみると、
1つの薬を開発するのに9〜17年、平均500億円がかかっているそうです。
2万種類の新たな化合物を合成しても、
臨床段階を通過するのが3種類、
申請段階に到達するのが2種類、
最終的に承認されるのが1種類。
平均して2万分の1しかないと。
以下、その幹部の人とのQ&A。
Q:この2万分の1という確率は海外でも同じなのですか?
A:およそ似たようなものです。
Q:この確率を上げるためにどのようなことをされているのですか?
A:会社ごとに、データのライブラリーを交換したりして、ネガティブデータの共有を図っています。
Q:交換されるライブラリーは等価値なのです?
A:そもそもライブラリーの形式などが会社によって全く異なるため、比較自体が難しい状況にあります。
まだ活発に交換されているとは言い難く、今後の課題となるでしょう。
Q:昨今、日本の製薬会社が海外の会社を買収する案件が続いていますが、あれもこの確率を高めるための戦略なのでしょうか。
A:戦略は各社によって異なるので、必ずしもそうとは限らないと思います。
自社の持っていない技術を買うためということもあるでしょうし、単純にマーケットを広げたいという意向で買収している場合もあります。
Q:一部の会社は、買収する会社自体が主目的ではなく、買収する際に抱える負債によって自社が買収されることを防ぐことが目的と言われていますが、そのようなこともありうるのでしょうか。
A:ありうると思います。実際には多くの思惑が絡んでいるので一概にどれが主目的かは断言できないでしょうが。
Q:今後も製薬企業のM&Aは進むと思いますか?
A:わかりません、進む可能性もありますが、国内の製薬企業は過去数年の吸収・合併のごたごたからやっと落ち着いてきたばかりです。
これからまたさらにあの喧騒に突き進むのはかなり勇気が必要かもしれませんね。
Q:やはり合併は大変だったのですか。具体的にはどのようなところが?
A:それはもう。大変なのは主に人事とシステムですね。
合併までの1年間は研究部門も研究に専念できていたわけではありません。
特にシステムが大変で、2つの会社のシステムを統合するのは一筋縄ではいきませんでした。
Q:今後、海外の製薬会社や他社のライセンスを買収することで、研究開発費を削るという方向性は考えられますか?
A:それはありません。
株主の方々からも同じような質問を多く頂きますが、研究開発費は会社の根幹ですから、ここの手を緩めることはありません。
Q:ありがとうございます。
ちなみに、御社が先ほどのように講演をしてくださるのはありがたいのですが、御社にとってのメリットはどのようなところにあるのでしょうか?
A:一つはCSR。ただ、CSRとは別に、製薬会社は社会との接点を失うと生きていけないと私は考えています。こういった場で皆様のご意見を頂ければ、必ず弊社の成長に役に立つと考えています。
(引用終わり)
統合時の人事の話をもっと聞きたかったのですが、さすがに憚れたので詳細は聞けませんでした。
合併時の人事は、こう言うと不謹慎かもしれませんが人間ドラマが詰まっているので興味津々です。
システムに関しては、「やはりシステムがネックなのか」という感想を持ちました。
都市銀行の統合の際にも、最後の最後までシステムが問題になっているようですし。
個人的には、今後も国内での製薬M&Aは進むと考えています。
国内1位の武田薬品でさえ世界10位に入れていない状況では、早晩国際競争から振り落とされるでしょう。
都市銀行があれだけ無理をして合併をしたのも、「今後の国際競争に勝つためには国内での小競り合いに終始している場合ではない」と判断したからでした。
ネームバリューが高いところであっても、今後はプライドよりも生き残りのための合併を選ぶ可能性も十分あると思います。
ただ、現在はどちらかというとマーケットの拡大や製薬分野の拡張など、「横の広がり」に巨額を投じている印象は否めません。
最近の主要案件は;
武田薬品:米ミレニアム・ファーマシューティカルを買収(88億ドル、約9000億円)
第一三共:印ランバクシー・ラボラトリーズを買収(約4000億円)
エーザイ:米MGIファーマを買収(39億ドル、約4000億円)
どれも、「製薬の確率2万分の1を改善するため」という方向にあるようには思えません。
苦手分野の強化、もしくは単純なマーケットの拡大に対して巨額を投資しています。
これだけ資金を消費してしまうと、国内の合併のための資金をどこから集めてくるのかという問題が起きます。
ただ、今後は会計の国際基準の導入によりのれん代を償却しなくて良くなるため、比較的合併はしやすくなるでしょう。
いつか私自身も、「2万分の1」を改善するための事業戦略に関わりたいと思います。
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