スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【BOOKS】『物理学と神』:宇宙項は出所不明

物理学と神 物理学と神
池内 了 (2002/12)
集英社

この商品の詳細を見る


「私には、宇宙項教が流行するような宇宙論こそ、本当の『危機』にある、と思えて仕方がない」

なんだ、やっぱりそうなのか、
と安心させてくれると同時に考えさせられる一冊。

宇宙論や素粒子論をかじると、
「一体その概念はどこから出てきたのか?」と思うことがよくある。
宇宙論では宇宙項がその代表。

単に門外漢だからか、と思ったが、物理学博士の著者がお墨付きを与えてくれた。

宇宙項の出所は不明だが、定常宇宙論での真空からの物質生成ほど怪しげではない。

宇宙項教は、かのアインシュタイン大先生が教祖なのだから、何をためらうことがあろうか、とりあえず信じる(ふりをする)ことにしよう。

そうすれば論文数が稼げるという現世のご利益がある。
アインシュタイン様様である。

宇宙項の出所がわからないところ特に都合よい。
好きなだけ調節して、お好みの宇宙を造ることができるからだ。」
(強調は引用者)

やはり宇宙項は、「これがあると観測の説明がつく」という、実態不明の代物であるらしい。
しかもダークマターも同様だそうで。

「気とか霊が物を動かすというほど荒唐無稽でもないが、実態が明らかでないものに原因を押し付ける手法は似ていないでもない」


「私が心配しているのは、この宇宙の組成で私たちが知っている物質はたかだか5%に過ぎず、25%はダークマターと呼ぶ暗黒に潜む物質に押し付け、残りの70%を出所不明の宇宙項に担わせようとしていることである。つまり、宇宙の95%までの成分については知らないまま、宇宙の年齢や構造を論じているのだ。」


冒頭の言葉はこれに続く一文である。


この、「何を以ってして科学的考察と言うのか」という問題は物理学に限らず存在する。

脳科学でも、「何を以ってして『意識の解明』というのか」という問題は常に付きまとうからである。
「どういう解答があり得るのか」という問題でもいい。
反証可能性を堅持した解答例は意外に難しい。

「こういうモデルがあれば意識を説明できる」と言う人に対して
「説明できることと実際にそうであることは違う」と反論する人がいる。

前者は宇宙論的に考えているのである。
「これがあれば観測事実を説明できる」

理論屋と実験屋はこの言葉に納得できるかどうかで分けられるように思う。



「神」という言葉がタイトルについているのは
科学と宗教の関係について明らかにしようという意図ではなかろう。


科学を突き詰めれると、科学を支えているものは宗教じみて見えてくる、ということを示している。

読んでいても「神」という言葉に違和感はない。
随所で神がジョークのネタにされていて楽しい。

スポンサーサイト

コメント

アインシュタインと言えば、彼の特殊相対性理論は、その理論の少なくとも一部が正しいという仮定を立てた上で実験を行って、成功したとみなされている、っていう批判を述べた文庫本を読んだことがある。

今、彼を始めとする古典的な科学者たちの理論が、現代科学でどういう位置づけをなされているのか、オレは無知ですが、盲信してはいけないんだな、ということは思った記憶がある。

>naoki

その人の職業や哲学によって古典物理の位置づけは変わってくるのでしょうが、僕はその価値は変わらないと思っています。
どの理論が適用可能かは、適用させようとしている世界の枠組みによって異なります。

たとえば、「時速1000kmで飛んでいる飛行機の中で前方にボールを時速100kmで投げたら、ボールの速度はいくらか」という問題。
確かに相対論を使えばこの答えは「1100km/h」ではありません。わずかに遅くなります。
がしかし、この問題で求められているのは相対論レベルの厳密な理論ではなくて、算数レベルの力学を適用せよ、ということが前提になっています。
なので「1100km/h」を「正解」とみなすべきだと僕は考えています。

同様に、特殊相対論は「重力が無視できる空間で」という条件(=適用可能な世界の枠組み)を前提としているだけであって、それを批判しようとは僕は思っていません。

物理学に関しては、我々の生活に関わる部分はほとんど解明されたので、かなりの程度信頼してもらってオッケーだと思います。
複雑系にしても、「わからない」ことはわかるレベルにあります。
生物学の「常識」は要注意だとは思いますが。

生物学は捏造がほんとお盛んのようですが

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURL:

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。