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【論文】睡眠障害に対する新薬への一歩

ナルコレプシーを治すための新薬ができるかもしれません。
(Brisbare-Roch et al, Nature Medicine, 28 Jan 2007)

ナルコレプシーは二重の意味で恐ろしい病気です[1]。

第一に、突発的に眠ってしまうということ自体が、交通事故などを引き起こす確率を大きくします。

第二に、社会的に認められないという精神的な負担がかかります。
眠ってしまうという症状から、「怠けている」「だらしがない」という評価を受けてしまうことになります[2]。


当初、ナルコレプシー患者の脳からは異常が見つからなかったため、解明が難航しました。
結果的に、オレキシンという神経伝達物質が関与していることが判明します。

この病気が、怠けているのではなくて遺伝子レベルの問題であることが突き止められたのが1999年。

オレキシン受容体の遺伝子をノックアウトしたマウスでナルコレプシーが出ました[3]。

翌年、ヒトのナルコレプシー患者も、オレキシンを作る神経細胞が消滅していることが判明します[4]。

2004年には、マウスに人為的にオレキシン受容体の遺伝子を導入したりオレキシンを脳内に直接投与したりするとナルコレプシーが改善することも判明しています[5]。

この論文は、経口的にACT-078573という薬を投与することによって、ラット・イヌ・ヒト全てのナルコレプシーが改善することを示しています。


ナルコレプシーは軽症の場合、患者本人も病気であることに気づかず、「私は怠け者なんだ、何でこんなに眠たくなるんだろう」と思っている場合があります。

この薬の開発が、より多くの「潜在的患者」の生活を改善できるといいのですが。


注釈
[1]ナルコレプシー narcolepsy
最も広く研究されている睡眠過剰症。
2000人に1人の割合で起こり、日中睡眠発作 daytime sleep attack と カタプレキシー cataplexy という2つの症状を引き起こす。

日中睡眠発作とは日中に強い眠気に襲われる症状。
10分程度の突発的な睡眠が起こる。
その突発性は、会話の最中・食事中・性交中・スキューバーダイビング中など、場所を選ばない。

カタプレキシーは、怒りや悲しみなどの情動をきっかけとして筋肉が弛緩してしまう症状(muscle tone)。重症の場合、その場に倒れこんでしまう。今回のACT-078573はこのカタプレキシーも抑えた。

[2]ナルコレプシーについてはなるこ会のHPが参考になる。

[3]Chemielli et al, Narcolepsy in orexin knockout mice, Cell, 98, 437-451, 1999

[4]Peyon et al, A mutation in a case of early onset narcolepsy and a generalized absence of hypocretin peptides in human narcoleptic brains. Nature Med, 6, 991-7, 2000

[5]Mieda et al, Orexin peptides prevent cataplexy and improve wakefulness in an orexin neuron-ablated model of narcolepsy in mice, PNAS, 103, 4649-54, 2004
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