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【BOOKS】『すべては脳からはじまる』

すべては脳からはじまる すべては脳からはじまる
茂木 健一郎 (2006/12)
中央公論新社

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「このところの日本の『脳ブーム』はやや表層的で、上滑りの感がある」

本書の中の一節である。
私も全く同感である。

しかし、本書もその「上滑り」の脳ブームに便乗した本にしか思えないのもまた事実。

茂木健一郎さんの本は、エッセイとして読む分にはおもしろいが
「脳」という単語を使いすぎのように感じる。

この人の使う「脳」は単に「人間」と置き換えられるものがほとんどで、
それを「脳」と表現することの妥当性が薄いように思われる。

「他人の行動を変えようと思ったら、『ほめる』のが一番である。認められることは、社会的動物である人間の脳にとって最大の報酬の一つだからである」

この文にある「脳」は削り取っても何の問題もない。
「社会的動物である人間にとって最大の報酬」で通じる。

「ほめる」という、神経学から見ると定義不明な言葉と、
「脳」という言葉を一緒に使うこと自体に違和感がある。
(これは茂木さんだけではなく心理学一般への違和感ではあるが)

神経科学的にそこまではっきりしたことはわかってないはずなのに、
というレベルのことまで完全に言い切っている。
「あるある」一歩手前・・・?

エッセイにまじめに突っ込むのが野暮なのかもしれないが。


以下、脳科学とは全く関係のない点についての感想。
聖徳太子の十七条憲法を今でも有効な日本国憲法の法源と認めたらどうだろう、
というアイディアについて。

本文中では「日本の法学者に認められることはまずないと思うが」と書かれているが、実際に「十七条憲法は今でも有効である」としている学者は存在する。
「十七条憲法を無効とする法は未だかつて存在しない」からだそうで。

渡部昇一などは「現在の日本国憲法自体が無効」と言っているくらいなので
法学者の間でも見解が分かれているのであろう。

「大英帝国」が盛隆したのは、イギリス人の作るルールがフェアだったからだ、という主張について。

大英帝国の興隆は植民地のおかげなのであって、
植民地化が「フェア」だとはとても思えない。

日本人が他国批判は日本語で行われており、内輪受けを狙った内弁慶だという主張について。

これは全く同感。
哀しいながら、本当に日本を世界に認めてもらいたいなら他国の批判は英語でするべきだと思う。

最近、「日本の軍事事情について誤解していますよ」という
ウェブ用の記事を外国人向けに英語で書いて、切に感じた。
彼らのバックグラウンドを考慮しながら書くのは本当に骨が折れる。
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コメント

批判の方法・・・・

・日本人が他国批判は日本語で行われており、内輪受けを狙った内弁慶だ

僕も同感です。これは、言語レベルだけでなく、より一般的な次元でも当てはまる気がします。つまり、とある認識を持った人々を説得するには、その人の価値観に沿って話さなければ、理解されないということ。学会でやっている研究成果がいくら革新的であっても、最終的に社会に出す時点ではある程度の社会性がないと受け入れられない・・・・。そんな事を考えながら、凹んでます、最近。

>かずくん

そうだね、まさに「科学」と「日常」では使っている言語が異なるため、
ある意味で科学者と一般人はお互いに「外国人」という状態にあると思います。

むしろ僕としては、言語の種類よりも、社会の種類による壁の方が大きいとは思う。
日本人の科学者はアメリカ人の科学者とは会話ができる。
でも日本人の科学者は日本の一般人と会話できないということが容易に起こる。

生物系はまだいいって。社会性の説明がしやすい。
生物系で社会的意義を説明できないのは研究者側の責任が大きいと思います。
数学や基礎物理学になってくるともう超えられない壁があるように思いますが。

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