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【論文】CASPS2遺伝子と自閉症の関係

CADPS2遺伝子が自閉症の原因の一つかもしれない
Sakata et al, Autistic-like phenotypes in Cadps2-knockout mice and aberrant CADPS2 splicing in autistic patients
JCI March 22, 2007


理研の研究ということもあってmixiニュースでも取り上げられていました。
ニュースとリンクした日記の中には
「やっと原因が解明できたんだね」
とコメントしている人が多く見受けられました。

この論文は全くそのような位置づけではないのですが、
分子生物学や神経科学を学んでいない人としては当然の反応なのかもしれません。
神経科学者も、自分の分野と全く異なる科学分野のことなら勘違いしてしまうかもしれません。

たとえば「ガンマ線バーストのメカニズムを解明」という
ヘッドラインがあったとしても、それが
「仮説の一つ」なのか
「理論は正しいが全貌の解明には至っていない」のか
「最後の一ピースが埋まって、ほぼ完全に説明がつくようになった」のか
私には判断がつきません。


ともあれ、この論文の要約は以下の通り。
・CADPS2(Ca-dependent activator protein for secretion 2)は小胞の放出を媒介するタンパク質である。

・ヒトでは、CADPS2遺伝子は7番染色体に存在する(locus 1 of 7q)。

・CADPS2ノックアウトマウスは、以下のような行動を見せた。
これらは自閉症患者と似ている、としている。

1) 他のマウスとの接触時間が短い

2) ケージでの多動性が見られる

3) 外に出る回数が少なくなる。

4) 新規の現象に対する積極性が失われる

5) 母親マウスは子マウスを養育しようとしない

6) 完全な暗闇の中でも、概日リズムがシフトしない(WTはだんだん短くなる)

7) ちなみに、視覚・嗅覚・聴覚・水迷路の能力はWTとほとんど同じ。

・自閉症患者では、CADPS2のmRNAのエクソン3が欠損していた。
(親や兄弟姉妹は欠損していなかった。)

・エクソン3欠損CADPS2との共発現状態ではBDNFの放出が増加する。
・ただしCADPS2ノックアウトマウスではBDNFの放出は減少する(@小脳)

・エクソン3欠損のCADPS2はニューロトロフィンの局所的放出を阻害するのではないか。

・これまで、選択的ドーパミンD2受容体の作動約はマウスの他動性を抑えることがわかっていた。
CADPSファミリーはドーパミンD2受容体と相互作用することから考えても興味深い。

・他にも新皮質や海馬でのCADPS2やBDNFの分布がおかしいとかいろいろ。



以下、感想。

・CADPS2と同様、FOXP2も7番染色体に存在することとあわせても興味深い。
(→関連ログ:「オキシトシンは他人の心を読むのを助ける」)

・概日リズムの制御まで変化することも興味深い。
Rhythms of the Brainを読むモチベーションがさらに上がる。

加えて、概日リズムを制御するのは視床下部にあるSCN
そして、自閉症に関連するとされるオキシトシンも視床下部から放出される。
(→関連ログ:「CD38・オキシトシンと自閉症」

・概日リズムはドーパミン放出とも関連が深い。

これだけいろいろな要素が絡み合っていると、全体としてどう理解したらよいのか途方にくれるが、おもしろいことには変わりない。

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