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【記事】エタノールは本当に環境に良いのか:政治力学の妙

今日のBTJの話題はホワイトバイオ。

セルロースエタノールの産業化は米国の強いイニシアチブの下で進んでいるようです。

一例として、米エネルギー省は新たに稼動する6箇所のセルロースエタノール工場に対して、一箇所につき60億円以上の補助金を与えていることや、ホワイトバイオのベンチャー企業に対しても集中投資がなされていることが挙げられています。

それに対し、日本は基礎研究から産業化までの橋渡しにはお金を使わないから、せっかくの研究がゴミとなっている、と。

要するに「日本はまた出遅れてますよ」という趣旨なのですが。

エタノールに関しては、『クーリエ・ジャポン』6月号に載っていた総括の方が深く分析してあっておもしろかったですね。

セルロースエタノールに負けず劣らず、米国政府は昔から「トウモロコシからの」エタノールに莫大な税金を投入しています。


注目すべき点は次の二点。

1)本当にトウモロコシからのエタノールは環境にやさしいのか?
2)なぜ米国はトウモロコシエタノールにこだわるのか


1)に関しては次の点が指摘されている。

・トウモロコシからのエタノールは、燃焼時に生み出すエネルギー量以上のエネルギーをその生産に要する。

サトウキビのほうは、取り出せるエネルギーが生産に要するエネルギーよりもずっと大きい。

・ただしサトウキビに関しては、ブラジルで悲惨なことになっている。

ブラジルが世界で4番目に二酸化炭素排出が多いのは、サトウキビ栽培のために森林を焼き払っているから。
森林破壊により、大気は汚染され、水質も汚染去れ、二酸化炭素も排出されるという事態に陥っている。


・トウモロコシ生産の過程で出る「廃棄物」からセルロースエタノールを作る計画があるが、この廃棄物はもともと堆肥として利用されていたものであるため、今度は人工肥料をまいて土壌に負荷をかけなくてはいけなくなる



2)に関して。

これは非常に面白い歴史があった。

鍵となる会社は、大手の穀物商社であるADM (アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド)

この会社は、現在は甘味料としてコーンシロップを作っている。
しかし1972年の時点では作っていなかった。

なぜコーンシロップを作るようになったか?

この会社は政府と強いコネを持っていることが特徴である。
たとえば、1972年にソ連が7億ドルの穀物を買い付けたとき、輸出補助金を出すようにニクソンを説得したのはADMのCEOだったとされている。

このソ連への輸出による効果は2つ。

1つはADMが輸出仲介により直接的な利益を受けたこと。
2つ目は、輸出超過のため国内の穀物が不足し値段が高騰したこと。

これを受けて、政府は価格を引き下げるため、農家に直接補助金を与えるようになった。

「たくさん作物を作ってね。もしトウモロコシを作りすぎて価格が暴落しても、差額は政府が補填するから」という方法である。

当然の結果として、農家はトウモロコシを増産。
暴落によるリスクがなくなったからである。

ADMという仲介業者にとっては仕入れ値が安くなるのでありがたい。
しかし、売るときにはもっと高く売りたい。

どうするか。
トウモロコシからシロップを作ることを考えた。

しかし砂糖よりも高く売ると売れない。
輸入品の砂糖はかなり安かったのが問題だった。

どうするか。
砂糖の価格を高くすれば良いのである


そこで政府とのコネ, again。

1982年、ADMの高額な政治献金を受けていたレーガン大統領は、自由貿易を主張していたにもかかわらず、砂糖の輸入に規制をかけた。

めでたく砂糖の値段は高騰。
コーンシロップは爆発的に売れるようになり、今でもADMはコーンシロップ市場を独占している。

しかしここでまた問題が。
シロップはソフトドリンク用にも使えるのだが、ソフトドリンクは冬の需要が少ない。
工場を遊ばせておくのは無駄なので、冬にも使えるトウモロコシ産業を見つけたい。

そ こ で

エタノール。


トウモロコシからエタノールを作ってエタノールを売ろう!

しかしここでまた問題が。
ガソリンのほうが安いのである
工場の運転費が高かった上、ブラジルからのエタノールが安すぎた。

そこで政府とのコネ、again。

ADMから高額の政治献金を受けていたカーター大統領は、
エタノール工場への融資と、
ブラジルからのエタノールの高額関税の導入
という政策を決定。

めでたくADMはエタノールの寡占に成功。


そして現在。

ADMから多額の献金を受けているブッシュ大統領は・・・



そろそろ飽きてきたのでこの辺で。

エッセンスはこんな感じでした。

俗にバイオの産業利用を「ホワイトバイオ」と呼びますが
どこらへんがホワイトなのかと疑ってしまいます。
森林破壊といい政治といい、真っ黒くろすけやん。


最近、natureなどでも毎週のように(というか毎週)環境問題が
ニュースになっていますが、環境に関する論文もこういった
conflicts of interestを頭に入れて読んだほうがいいかもしれません。

実際には難しいですけどね、素人が政治力学を知るのは。

大半の情報が公開されているので不可能ではないのですが、時間的制約が実質的に不可能にしています。
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コメント

こういう陰謀論系ニュースサイトを読むのはいい頭のトレーニングになると思いますよ。
http://tanakanews.com/index.html
Natureのeditorialやopinionとか読むと、実はバンバンこういうきな臭いネタにも相当に突っ込んだ記事を載せてたりするんですよね。知らぬは日本人ばかりなりどころか、知らぬは日本人研究者ばかりなりみたいな状況が少なくないようです。

>vikingさん

私もその人の記事はよく読んでいます。
学部時代、サークルで時事問題に関するディベートに没頭していた時期があり、田中さんの記事は大変有用でした。
相手チームが知らない強力な情報を与えてくれるので。

科学に関しても同様の記事を載せてくれる人がいれば助かるのですが。

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