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Synapses 第4章 1~2節

自主ゼミでSynapsesというテキストを輪読しております。

自分の担当になった第4章を全訳しようとして挫折・・・orz

意外に翻訳は時間がかかる。

昔は、「なんで The Molecular Biology of the Cellの翻訳に4年もかかるんだ!(怒)」なんて思っていましたけど。
多忙の先生方が時間の合間を縫って翻訳するのは本当に大変な作業なんだろうな、と思ってしまいました。
4年もかかって誤訳があるのもどうかという気はしますが。

自分の集中力のなさも浮き彫りに。
集中力MAXの時には1ページ15分で訳せるので、計算上は1日で全部(30ページ)訳せるはずなのに・・・。


以下、4章の1節 The Synaptic Vesicle Cycle と2章の Synaptic Vesicles の翻訳。
役抜け、誤訳がたくさんあるハズ。
この量なら著作権・版権上も問題ないハズ。

シナプスでのシグナル伝達は多様な神経伝達物質によってなされている。神経伝達物質の種類は多いが、これらは基本的に全て同じシステムで放出されている。

1) プレシナプスの終末にある小胞に神経伝達物質が貯蔵される
2) 終末が刺激されると小胞がエキソサイトーシスし、神経伝達物質が放出される
3) 放出された伝達物質はポストシナプスのレセプターに結合し、伝達を終える

Katzらは1950年代に、伝達物質が放出されるシステムの可視化に初めて成功した。カエルの神経筋接合での電気生理実験は、伝達物質が離散的(量子的)に放出されていることを示していた。電子顕微鏡の発達とともに、プレシナプス側で多くのオルガネラが膜に結合していることが判明し、シナプス小胞の発見につながった。これらの発見と観察により、「小胞は単位量の伝達物質を含んでいる」という仮説をKatzらは提唱した。後にWhittakerがシナプス小胞を精製し、伝達物質を含むことを示したことでKatzらの仮説は裏付けられた。Heuserらはさらに、刺激を受けた神経終末を急速に凍結させることで、終末の膜の運動を鮮やかに示して見せた。

神経伝達物質が放出させる過程において得に特徴的なのはシナプス小胞と終末の膜の融合である。この融合はカルシウムが厳密に制御している。エキソサイトーシスした後には、ベシクルはエンドサイトーシスによりリサイクルされる。その結果、シナプス小胞は
エキソサイトーシス→エンドサイトーシス→リサイクル
というサイクルを回ることになる(Fig 4.1)。

詳細な研究により、このサイクルは細かく分けると次のような段階を経ることがわかっている。
ドッキング→プライミング→トリガー→リサイクル→リロード

以下、これらの過程の分子的なメカニズムの詳細を見ていく。

1. The Synaptic Vesicle Cycle

Fig.4.1に従ってシナプス小胞のサイクルを追う。

Step1:神経伝達物質の取り込み
シナプス小胞は、膜にあるトランスポーターを介して、外部の伝達物質を内部に取り込む。この過程にはATPが必要である。
まず液胞型プロトンポンプが小胞内を酸性にし、膜を介した電気化学的な勾配を作る。これにより伝達物質取り込みのためのエネルギーができる。各々の伝達物質に特化したトランスポーターが伝達物質を内部に取り込む。

グルタミン酸・ATP・アセチルコリンにはそれぞれ別のトランスポーターがあることが示唆されているが、GABAとグリシンは同じトランスポーターで取り込まれる。また、全てのカテコールアミンも同じトランスポーターで取り込まれる。

Step2:移動と接近
神経伝達物質が詰め込まれた小胞は神経終末の特定の箇所(active zone)に移動する。この移動は拡散によるものかもしれないが、分子モーターが介在している可能性も捨てきれない。

Step3:ドッキング
小胞が神経終末の細胞膜に結合する。
この結合箇所はactive zoneに限られており、他の場所には結合しない。

Step4:融合の前段階
接合した小胞は、神経終末との融合の前段階に移り、カルシウム依存的に伝達物質を放出できる状態になる。この過程にはATPが必要である。

Step5:融合(エキソサイトーシス)
カルシウムが流入すると急速に小胞と終末との融合が進む。融合には0.1秒もかからない。

Step6:再取り込み(エンドサイトーシス)
エキソサイトーシス後は、エンドサイトーシスにより小胞が急速に回復する。エンドサイトーシスにはピットとなるコートタンパクが関わる。

Step7:コートタンパクの除去
エンドサイトーシスが完全に終わると、小胞はコートタンパクを切り離す。

Step8:リサイクル
小胞は終末から離れ、リサイクルされる。

Step9:
Step8のあとは、Step1に戻るか、もしくはリサイクル過程を選別するためのエンドソーム中間体を経る。

これら一連の仮定に要する時間は合計で60秒程度であり、内訳は次の通りである。

Step1(NT取り込み)    :50秒以上
Step2~4(接近~融合前) :10~20ミリ秒
Step5(融合)       :1ミリ秒以下
Step6(エンドサイトーシス):数秒

ほとんどが神経伝達物質の小胞内取り込みに使われていることがわかる。


神経終末は次のような特徴を持つ。
1) active zoneの近くには200~500ものシナプス小胞のクラスターが存在する
(哺乳類の脳ではシナプスが10^14~10^14個あるので、小胞はさらに桁違いに多い。)
2)小胞が接近する際、プレシナプスの細胞膜はactive zoneで厚くなる。
3)active zoneの面積は5~20μm^2である。
4)active zoneには、少数で多様なシナプス小胞が結合する。これは、シナプス小胞のサイクルのほとんどの時間はactive zoneではなくほかの場所で使われていることと整合する。
5)終末はポストシナプスと結合分子を介して繋がっている。

真核細胞では膜輸送は普遍的である。いかなる細胞も、常に多様な運搬反応を同時にこなす。細胞内の膜輸送は、同一の基本的なプロセスを経ている:輸送小胞が基の膜から出芽し、ターゲットとなるオルガネラに移動・結合し、そのオルガネラと融合する。

膜輸送の違いは、関与するオルガネラの違いや、反応にかかる時間、およびそれらを制御する機構によって区別される。細胞は異なる種類の膜輸送を同時に行っているにもかかわらず、それらは混線したり「渋滞」になってしまうことはない。だからこそ膜輸送が一つ一つ区別できるのである。

膜輸送は全て根本的には似ているが、制御機構は一つ一つ異なる。このことは、膜輸送のメカニズムが全て同じで、関わるコンポーネントが異なるのであろうことを示唆している。小胞のサイクルは他の細胞内膜輸送と似ている。小胞がエンドソームや細胞膜から出芽し、ターゲットのオルガネラに移送され、そのオルガネラと融合するという点で共通している。このことから、神経伝達物質の放出のメカニズムが明らかにされるに従って、全ての細胞、全ての膜輸送の根底に流れるメカニズムの理解も進んできた。

共通な部分もあるにせよ、神経伝達物質には特殊な点もある。他の輸送機構よりも格段に制御レベルが高いことである。従って、シナプス伝達を理解するためには、シナプス特有の機構を解明する必要がある。エンドソームによる介在がなければ、小胞のサイクルはトランスロケーション・融合・出芽をそれぞれ一度ずつしか経ないのであり、分泌経路の各段階に似ている。このサイクルは細胞体とは独立して繰り返される。神経終末と細胞体は最大で1メートルも離れていることを考えると、終末での独立した制御機構はどうしても必要なものとなる。


2. Synaptic Vesicles: Molecular Anatomy of and Organelle

シナプス小胞のサイクルを理解するのに最も有効な方法は、小胞に関与するタンパク質の特性を明らかにすることである。シナプス小胞は大きさと密度という点で全て相同であるため、密度勾配遠心法とサイズ分別法を組み合わせることで比較的容易に大量精製が可能である。シナプス小胞に局在しているタンパク質を解明することで、遺伝的、生理的および生化学的な機能が明らかになってきた。現在では小胞が神経終末に接合・融合する生化学的で検証可能なモデルができている。

電子顕微鏡で見る限り、シナプス小胞は電子密度が低く、直径およそ35nm(native conditionではもう少し大きいかもしれない)である。シナプス小胞は小さいため、わずかな量のタンパク質と脂質でしかつくることができない。大雑把に計算してみると、シナプス小胞は10,000のリン酸脂質分子と、計5~10×10^3kDa のタンパク質から成ることがわかる。タンパク質の平均質量は50kDa であることを考えると、シナプス小胞はおよそ200のタンパク質を含んでいると予測できる。

シナプス小胞の機能は、知られている限り神経伝達物質の放出のみである。よって機能的にもシンプルである。基本的には、機能も少なくて関与するタンパクの量も少ないものは分子的に詳細に解明することができる。実際、シナプス小胞は全てのオルガネラの中で最もよく理解されている。既に我々は、ほとんどの小胞タンパクの構造を知っているし、その一部は演繹的に機能が理解されているし、他のタンパク質に関しても検証可能なアイディアがある。

シナプス小胞のタンパク質は主に2つの機能に分類される。
一つは膜輸送タンパクで、神経伝達物質と他のコンポーネントを小胞内に取り込む。
もう一つは細胞内輸送タンパクで、小胞を細胞内で輸送する役目を持つ。
膜輸送タンパク質の中で最も重要なのはプロトンポンプである。プロトンポンプは膜内外に電子密度勾配を作り、神経伝達物質の取り込みを促進する。小胞上のプロトンポンプは、液胞でのプロトンポンプに似ている。13のサブユニットから成り0.8×10^3kDaの大きさを持つ。小胞の膜上にプロトンポンプが一つあれば神経伝達物質の取り込みには十分だと考えられている。プロトンポンプは非常に大きいため、一つだけで小胞上の全タンパク質の10%の質量を占めている。

あるシナプスで使われている神経伝達物質の種類を決めているものの一つは、小胞にある神経伝達物質のトランスポーターの種類である。たとえばサイトゾルではグルタミン酸が普遍的なコンポーネントであるため、グルタミン酸を取り込む全てのシナプス小胞は相手となる神経終末をグルタミン酸作動性にさせる。プロトンポンプと神経伝達物質だけでなく、シナプス小胞は亜鉛・クロライドなどを輸送する補助タンパクも含んでいる。そのほとんどは未解明である。

現在のところ、シナプス小胞において膜輸送に関わるタンパク質には9つのファミリーが知られている。他にもある可能性はあるが、多くのタンパク質が見逃されている可能性は低い。膜輸送に限らなければ、シナプス小胞に関わるタンパク質は多い(たとえばカルシウム-カルモジュリン依存性キナーゼⅡ、アクチン、SNAPIN、ダイニンなど)。しかしこれらのタンパク質は高度に精製された小胞からはほとんど見つからない。もしあったとしても量が少なすぎて、全ての小胞にあったとは化学量論的に考えにくい。全てのタンパク質がわかったわけではないにしろ、見逃されているタンパク質は小胞の機能に絶対必要というわけではないはずである。

Fig. 4.2 に示したように、シナプス小胞のタンパク質には共通の構造がない。分類すると次のようになる。

・膜表在性タンパク質:シナプシン、ラブフィリン
・脂質修飾により結合しているタンパク質:CSP、rab
・一回膜貫通型タンパク質:シナプトタグミン、VAMP/シナプトブレビン
・複数膜貫通型タンパク質:シナプトフィジン、シナプトジリン、SV2s、SCAMPs

さらに膜貫通型タンパク質は次の4種類に分けられる。

・3種類の4回膜貫通型:シナプトフィジン、シナプトジリン、SCAMPs
・2種類の12回膜貫通型:SV2, SVOP
・1種類のType Ⅰタンパク質:シナプトタグミン
・1種類のType Ⅱタンパク質:VAMP/シナプトブレビン

CSPを除き、全ての細胞内小胞輸送タンパク質は、シナプス小胞上にあるアイソフォームと強く関連したファミリーの一部である。多くの場合においてこれらのタンパク質はシナプス外でも見られる。典型的な例はシナプトフィジンで、2つのアイソフォーム(シナプトフィジンⅠとシナプトポリン/シナプトフィジンⅡ)は脳内で発現しており、他の2つのアイソフォーム(パントフィジンとミツグミン29)は非・神経性のタンパク質である。

これらのタンパク質のアイソフォームは神経伝達物質の種類や脳内の機能部位とは関係なく脳内に分布している。全てのタンパクファミリーが異なった分布を示す。たとえばシナプトフィジンのファミリーは脳内のどこでも共発現しているが、シナプトタグミンⅠとⅡについてはほとんど常に異なるニューロンで発現している。

一部のシナプス小胞のタンパク質は遠い関係性がある。シナプトジリンとシナプトフィジンは、少ないながらも重要な配列ホモロジーを示すタンパクファミリーである。SVOPとSV2sも同様である。少なくともシナプトフィジンとシナプトジリンは一部の機能が重複している。また、シナプス小胞に発現しているタンパク質は神経細胞ではない細胞にも発現していることがある。シナプトフィジンは内分泌顆粒endocrine granuleにも発現し、CSPは内分泌顆粒・外分泌顆粒の療法に発現している。VAMP/シナプトブレビンⅡはほぼ全ての細胞に普遍的に存在している。しかしこれらのタンパク質はどれも非・神経性の機能は確認されておらず、神経外では機能を持っていない可能性もある。

小胞のタンパク質の進化的な経歴は非常に独特である。VAMP/シナプトブレビンやシナプトタグミンは高度に保存されている。シナプシンやシナプトフィジンに関しては、無脊椎動物に関してだけ遠い相同性が認められる。SV2は無脊椎動物には見られない。これらの進化的な違いは、一部のタンパク質は神経伝達物質放出の基本的なメカニズムに関わっており、他の部分は表層的かつ多様な制御機構の違いに関わっていることを示唆している。

まとめると、シナプス小胞のタンパク質は、多様な構造とトポロジーが特徴といえる。共通しているのはただ一つ、分割されるシグナルペプチド持たないことである。これは膜タンパク質を膜にインサートするのに使われることが多い構造である。小胞上のほとんどの膜貫通型タンパク質は内部にシグナルペプチドを持つと考えられるが、VAMP/シナプトブレビンはC末にアンカーを持つ。その結果、タンパク合成はトランスロコンが疎水配列を認識する前に終わる。よって、膜貫通部位はおそらくトランスロコンとは独立に、翻訳後に脂質二重膜にインサートされているものと考えられる。
膜へのインサート機構は通常とは異なるが、VAMP/シナプトブレビンの最初の膜会合はERで行われていると見られる。その後は通常の分泌経路に従う。

ほとんどの小胞タンパク質はプレシナプスの神経終末に高度に濃縮されているが、これらのタンパク質は低濃度ながら細胞内全体において見られる。未成熟のニューロンや培養細胞においては、小胞タンパク質がゴルジに高度に濃縮されていることがわかる。トランスゴルジネットワークを通過した後、小胞タンパク質は通常の小胞輸送の経路に従って細胞膜に送られると考えられている。その後、細胞膜から内部に取り込まれ、エンドソームを通して分類されるのかもしれない。

小胞タンパク質は順行性の速いアクソナルトランスポートによってシナプスに運ばれる。この過程には多種のモータータンパクが関わる。シナプス小胞は、シナプス近傍でのエンドサイトーシス/エキソサイトーシスがもう何週か行われないと最終的な成熟に達しないと考えられているが、詳しい機構は謎である。

多くの研究がなされているにもかかわらず、ほとんどのシナプス小胞のタンパク質の機能は解明されていない。一部のたんぱく質については、局所的な振る舞いは知られているものの、その機能はやはり不明である。たとえばCSPはDNA-J(HSC70と相互作用し、少なくともショウジョウバエではカルシウム依存性の放出に必要なドメイン)を持つ。CSPはシャペロンのコンポーネントとして機能するとも考えられるが、シャペロンのターゲットとなるタンパク質自体が同定されていない。同様に、シナプシンはATP結合タンパクであり、構造的にはATP依存性合成酵素に近い。シナプシンKOマウスでは神経伝達物質の放出が異常になることは示されているが、その機構に関しては一切が謎である。

さらに厄介なのは、シナプス小胞のタンパク質は比較的単純な構成であることを考えると、一つ一つのタンパク質が複数の機能を持っている可能性が高いことである。シナプス小胞のサイクルは多くの独立した過程を経ている上、それぞれの過程でタンパク質間相互作用が関与しているであろう。10種類程度のタンパクファミリーしか細胞内輸送タンパクがないことを考えると、多くのタンパク質はそれぞれの段階で複数の役割を担っていると考えられている。好例はシナプトタグミンⅠとⅡで、これらはエキソサイトーシスのトリガーとしても働き、かつエンドサイトーシスのためにAP-2を核化する働きも持つ。
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