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Synapses 第4章 5~8節 要約

やっと最後。プチ疲労。
やはり基礎知識を日本語で仕入れていない分野を英語で読むと時間がかかる。

以下、
・How does Calcium Trigger Neurotransmitter Release?
・Function of Rab3 GTP-Binding Proteins in Synaptic Vesicle Exocytosis
・Protein Dynamics in the Synaptic Vesicle Cycle: Role of Synapsins
・General Implications for Membrane Traffic
How does Calcium Trigger Neurotransmitter Release?

カルシウムは1ミリ秒(もしくは100μ秒)以下で神経伝達物質を放出させる。
カルシウムはシナプス小胞とactive zoneに存在するカルシウム結合部位に結合する。
シナプトタグミンがその代表である。
特性は次の通り;
・一回膜貫通タンパク質であり貫通部位はN末に近い。
・PKC(Protein kinase C)のC2配列と相同な2つの領域を持っている。
・この領域はカルシウムイオンと結合し、多くのタンパク質と相互作用する。
・10種類以上のシナプトタグミンファミリーが見つかっている(ただし全てがシナプス小胞にあるわけではない。脳外にあるものもある)

C2ドメインはシナプトタグミンに限らずシナプス小胞およびactive zone上の多くのタンパク質に存在する(ラブフィリン、DOC2、RIM、NIM、PKCαβγ、Munc13)
その多くがカルシウムと結合し、現在ではEFハンドに次ぐ普遍的なカルシウム結合モチーフであると考えられている。


シナプトタグミンは、「カルシウム依存性の」「早い」エキソサイトーシスに必要であるだけで、他のステップには関与しない。(KOマウスの実験でわかった)
換言すればカルシウムを感知するステップで必要なタンパク質だと言える。
証拠は以下の3つ:

1) シナプトタグミンは2つのC2ドメインから成り、二価カチオンとの弱い相互作用によって、カルシウムと結合できる。
2) シナプトタグミンはカルシウムセンサーとして機能するのに適切な場所にある
3) シナプトタグミンはカルシウムに結合すると、リン脂質やシンタキシンや自分自身と結合する。もしかしたら、シナプトタグミンがカルシウムに誘導されてSNARE core complexと結合し、膜融合と内部の開放を行うのかもしれない。

ただし、シナプトタグミン自身がカルシウムセンサーなのか、もしくはセンサーの一部なのか等はわかっていない。

他の候補については可能性が低いこともわかっている。
・カルモジュリンはカルシウムとの結合力が高すぎる
・ラブフィリンとシナプシンは、ノックアウトしても、エキソサイトーシスのカルシウム依存性に影響がない


Function of Rab3 GTP-Binding Proteins in Synaptic Vesicle Exocytosis

アクションポテンシャルが神経終末に達すると常にカルシウムの流入が起こるが、シナプス小胞は何個かにつき一つの割合でしか終末に融合しない。
・どのようにエキソサイトーシスが制御されているのか
・どのように、「どの小胞を融合させるか」を決めているのか
などは未だに謎である。
小胞にはカルシウム結合部位が複数あり、全てに結合すると融合できるようなシステムなのかもしれない。

エキソサイトーシスを制御しているタンパク質の一つがRab3Aである。
Rab3Aの特性は以下の通り;
・分子量は比較的小さい
・シナプス小胞上のGTP結合タンパク質である
・C末が翻訳後修飾(ゲラニルゲラニル化×2)されてから機能する
・ゲラニルゲラニル基(疎水的)により、通常の膜タンパク質と異なり、シナプス小胞から解離することができる。

Rab3は、GDPと呼ばれるタンパク質と協調的に働く。
GDIはGDPに結合したrabを認識し、シナプス小胞から取り除くことができる。
(C末の疎水的修飾を覆い隠すことができる)
よって、rabのシナプス小胞への結合と解離は、シナプス小胞のサイクルと並行して行われる(Fig.4.8)

仮説として提唱されているサイクルは以下の通り;
1) Rab3はGTPを結合した状態でシナプス小胞上にある
2) エキソサイトーシス後、GTPは加水分解されてGDPとなり、GDIに認識される
3) GDIがRab複合体を膜から引き剥がす
4) GDP-Rab3は、rab3-GDP/GTP交換タンパク質の基質となり、GDPはGTPに置き換えられ、再びシナプス小胞に結合する

おそらくこのサイクルはどのrabファミリー(rab3B, C, D,)も似たようなものだと考えられる。

GTP結合タンパク質の欠損した神経終末は、カルシウム量あたりの神経伝達物質放出量が多くなることも知られている。
よってrab3Aはシナプス小胞のエキソサイトーシスを負の方向に制御していると考えられる。

Rab3Aを欠損したマウスは、
・すぐに死んだり、病気になったりすることはない
・short-termのシナプス可塑性も失われていない
・しかし、苔状繊維でのLTPとLDPは通常ほど誘導されない

rab3BやCについてはよくわかっていないが、一部の機能はrab3Aと重複していることはほぼ確実である。


どのようにrab3Aはエキソサイトーシスを制御しているのだろうか?
最も信憑性が高いモデルは、他のエフェクターとGTP依存的に相互作用しているというものである。
ラブフィリンとRIMがエフェクターの候補として挙げられている。

どちらもRab3Aと結合し、ともにzinc fingerとC2ドメインを持っているが、この2つのタンパク質は似ていない。
・ラブフィリンは可溶性なのに対し、RIMは不溶性
・ラブフィリンはシナプス小胞にrab3の機能の一部としてリクルートされるが、RIMはactive zoneのタンパク質である。
・RIMには、ラブフィリンが持っていない多重ドメイン(PDZなど)が存在する。

この2つがどのように相互作用するのかもまだわかっていない。


Protein Dynamics in the Synaptic Vesicle Cycle: Role of Synapsins

ラブフィリンやRIMの他には、シナプシンが小胞のサイクルに重要である。
シナプス小胞にあるタンパク質の中では最も多く、かつ最も謎が多いタンパク質である。
多くの研究がなされているが、その機能は未だに不明である。

シナプシンは多くのドメインのモザイクを形成しているが、その中でも中央のCドメインが重要である。

Cドメインはさらに小さい2つのドメインがつき、その次に多種類のドメインの組み合わせが続く。(この組み合わせはシナプシンによって異なる)
シナプシンのCドメインはなぜかATP合成酵素と相同性が高い。しかもATPと強く結合する。

シナプシンはrab3やラブフィリンと同様に、小胞のサイクルの中で小胞に結合したり解離したりする。
シナプシンのAドメインがリン脂質と結合しているが、
PKAがAドメインをリン酸化するとその結合が外れると考えられている。

General Implications for Membrane Traffic

まとめ

・神経伝達物質の放出は高度に制御されている

・しかし基本的なメカニズムは他の膜輸送と同じである。

・シナプスと非シナプスでの膜輸送の違いを解明することが肝要である。
例1) 液胞の融合では強調するオルガネラがカルシウムを放出することが必要であるとわかっている。これはシナプス小胞のエキソサイトーシスと似ているように思えるが、シナプス小胞はカルシウム非存在下でもエキソサイトーシスを起こす。
つまり、カルシウムによって高度に制御された膜融合は、カルシウムを必要としないという一見矛盾した状況にある。

例2) rabタンパクは、シナプス小胞が終末に結合した後の最終段階での制御に必要である。しかし酵母ではそもそも膜同士の結合にrabが必要であることがわかっている。


プレシナプスの分子機構を完全に解明することは、記憶と学習の解明に大いに貢献するだろう。
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