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【論文】共感覚者は脳の領域間の神経結合が過剰

共感覚は脳の領域間の過剰な神経ネットワークが原因
Romke Rouw et al,
Increased structural connectivity in grapheme-color synesthesia
Nature Neuroscience 10, 28 May 2007


特定の文字が特定の色に見えたりする"共感覚"の機構がわかってきたようです。

今週のThe Economist にも掲載されています。
相変わらず早い・・・
しかも画像が原論文より綺麗だし。(修正・加工してあるからですが)

なぜか本論では「文字と色」の関係のみが強調されていますが、
共感覚は様々なパターンがあるわけでして。

文字と音が対応していたり。
「at」という文字を見るだけで水がコップから溢れる情景が浮かんだり。

(あ、そういえばこれらの「逆」はどうなんだろう?
Tという文字が赤に見える人は、赤色を見てTを想起するのだろうか。
Sという文字を見てラの音が聞こえる人は、ラの音を聞くとSが浮かぶのだろうか)

共感覚者は意外に多く、100人に2人の割合で存在します。
(かつ女性に多いという特徴があります。この論文も18人の女性が対象)

これまで共感覚の原因には2種類の仮説がありました。
1) 視覚や聴覚など、異なる部位が過剰に結合されている
2) 皮質のフィードバック回路の制御がうまく行っていない

今回、著者は1)の仮説を支持する結果を残したようです。
DTIで脳の神経回路をイメージングしたところ、共感覚者はコントロールよりも多くの部位が神経でつながれていた、と。

(DTI:diffusion tensor imaging。脳内の水の動きを見ることのできる装置。
水は神経線維と並行に動く時のほうが、垂直に動く場合よりも速く動ける。
これを利用し、水の長柄をイメージングすることによって神経線維の方向がわかるというもの。)


具体的には、コネクションを調べたのは次の3つの領域;
1)紡錘回:単語と色を処理する領域に近い場所
2)左頭頂間溝(IPS):統合と意識に関連するとされる場所
3)前頭皮質:上と同じく、統合と意識に関連するとされる場所


これらを調べてわかったのは以下のこと。

・これらの領域間のコネクションがコントロールよりも強かった。

・アンケートにより、「共感覚の強さ」を調べた。
(共感覚にもいろいろあり、たとえば「Tの文字と赤色」という組み合わせでも、
「Tの文字そのものが赤く見える」というprojector と、
「Tの文字は黒とわかるが、赤色が強く思い起こされる」というassociatorがいる)

共感覚の強さと、右側頭皮質の異方性比率に正の相関があることが判明。
共感覚の強さの違いは、側頭皮質のコネクションの違いに起因すると考えられる。

・IPSと前頭皮質をイメージングすることにより、色と形の共感覚には頭頂皮質が必須であることが判明。
ただし前頭皮質と頭頂皮質との異方性比率は、アンケートによる共感覚の強さとは相関がなかった。

・fMRIで調べると、側後頭部のV4野が活性化していることが確認できた。
しかしアンケートとの相関を認めることができなかった。

・共感覚者とコントロールでは、左半球に優位な差が認められた。

…etc。

ただし、これらの結果は仮説2)(皮質のフィードバック制御の異常)を排除するものではない、としている。
もしかしたらこのフィードバック異常が原因で神経が異常に結合しているのかもしれないから。



以下、感想。

・仮説2)がよくわかりません。
cortical feedback?
大脳のカラムにフィードバック機構なんてあったっけ・・・
小脳には登上繊維があるけれども、大脳のフィードバック機構はまだわかっていなかった気が。

・共感覚に遺伝性も一部認められるとすれば、その遺伝子と脳の構造の関係も興味が出てきます。
女性の方が連想ゲームが得意なのもこのへんのファクターが関係しているのでしょうか。
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コメント

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大脳のフィードバックとは、thalamocorticalに対するcorticothalamicと呼ばれるものです。調べてごらんなさい。

>通りすがりさん

ご指摘ありがとうございます。
視床と皮質の大局的な回路のことなのですね。
そうなると結局カラム単位でのフィードバック機構には触れていないように思われ、やはり違和感が残ります。
もう少し勉強してから違和感を具体化しようと思います。

専門家じゃないですがおじゃまします

feedforward feedback visual cortex あたりでぐぐると出てくるのでしょうか?

どこがどう働かないと共感覚になるかピンと来ませんが。共感覚を持つ知り合いによると、特に疲れると色がどんどん飛び込んでくるそうです。トップダウン制御しきれないっていう印象はなきにしもあらずでしょうか?


>SMLさん

コメントありがとうございます。
私自身も専門家というレベルにありませんので、気軽に書き込んでください。

ぐぐっても出てきますが、ほとんどが英語のページな上、体系的に説明してあるものはほとんど見つかりません。
もしあれば私も読みたいです・・・

皮質-視床間のフィードバックのような基本的な話はぐぐるよりもテキストを読んだほうが早い場合が往々にしてあります。

疲れると共感覚が発現するというのは興味深いところです。
ただ、おそらくトップダウンの制御というわけではないような気がします。
なぜなら脳神経自体がトップダウンの機構を持っているのか非常に怪しいので。
(トップダウンではない、というのが大方の見方です。もしあったとしても、その「トップ」は同時に「ボトム」の役割も果たしていたりして、非常に複雑になるはずです)

どうもです

単純すぎるかも知れませんがに皮質間のfeedforward/feedbackという解釈でいいのかなと思いました、皮質間のfeedforward/feedbackというのは広く認められていると思います。

これがベストとは思いませんが、例えば、ぐぐって最初のページに出てくるcbcl.mit.edu/cbcl/res-area/abstracts/2007-abstracts/serre-abstract-2007.pdf
のモデルなんか。どこがどうなると共感覚かは想像つきませんし、そもそも紹介していただいている論文を読んでもいないので、かなりはずしまくっているかも。その時はご容赦を。

トップダウンという言い方は一般的でないんですね。情報受け手から処理系へという大雑把な流れと逆方向ならばトップダウンという言い方していいのかなと思っていました。もちろんどこかに小人がいるとは思っていませんが。





>SMLさん

情報ありがとうございます。
確かに、紹介していただいた文献を見るとtop-down/bottom-upという表現が多用されていますね。
中枢-抹消神経の関係ならtop-downで問題ないと考えていましたが(あれは末梢神経が中枢神経の支配下にあるのは明白なので)中枢神経内でtop-downという表現が用いられているのをほとんど見たことがありませんでした。仰る通り「小人」を想像させてしまうので。
誤解を招かない程度には使用しても問題ないのかもしれません。

私が当初疑問に思ったのは、こうした大局的な神経のつながりがわかっても、最終的にフィードバックされた情報がどのように皮質のカラムに伝達されるのかはまだわかっていないはずだからでした。小脳なら登上繊維がフィードバックしていますが、大脳のカラムにはそれに該当する神経がないので、そのフィードバック機構が謎なので。

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