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御子柴先生 特別講義

今日は御子柴克彦先生の特別講義、一日目。

Reelin, Yotari, Wriggle mouse Sagami, IP3Rなどで華々しい成果を出している人です。

話のうまい人で、内容が容易に頭に入ってきました。

5時間の講義のうち、最初の1時間は延々と「研究者としての心構え」がテーマだったので少々驚きました。
僕はこういう話も好きですけれども、「早く本題に入ってくれ」と思っていた人もいたかもしれません。

以下、その「心構え」の一部です。

研究内容で重要なのは次の7つ。
1) 新しい研究の切り口と視点
2) 固定概念の打破
3) ワンパターンからの脱却
4) 発想の自由さ、ユニークさ、豊かさ
5) 材料の自由な選択
6) 新しい技術の導入
7) 新しい技術の開発

人材育成で重要なのは以下の4つ。
1) 多様な分野からの人材を集めること
2) ユニークな人材を育てること
3) 発信して人を引きつけるラボヘッドになること
4) 独立心を育成すること

・自分で流行を作ること。
決して流行の中に自分の身を置いてはいけない。

・朝から晩まで実験をやっているようではダメ。
自分の頭で考えること。
トラブルシューティングができるかどうかがその人の真価。

・ポスドクになって独立したときに何ができるかが重要。
それまでテーマや方法を上から与えられてきただけの人は何もできなくなる。

・独立心は必須。
ただし、研究者は孤独だから一人でやろうとするとつぶれる。
必ず多くの人と関わりながら研究を進めること。
一人で良い研究をすることなどできない。

・論文は少なくていい。本当にオリジナルで本質的な研究をすること。
本当に重要な研究をやっている人はみんな欲しがる。

・データが簡単に出るような研究はどうでもいい。

・論文が多い人も好かれるけれども、それは文科省の予算が一緒に獲得できるからであって、論文の真価が認められたとは限らない。

・良い論文は斜め読みしてもすっと頭に入ってくる。
それは「本当にわかりたいこと」への筋道が通っているから。
データだけ出した論文はストーリーをこじつけなければいけないから読みにくい。

・いろんなアイディアをボスにぶつけることが大切。

・教科書を信じてはダメ。あれはわかっていることしか書いてない上に、
そもそも間違いだらけ。

・自分の大学に固執せず、院生のうちにできるだけあちこちすること。
人の輪を広げること。
関東と関西でも大きく考え方が違うし、
日本と世界でもまた大きく考え方が違う。

・脳をやるのに脳だけを見ていたのではダメ。
うちの研究室は脳がテーマだけれども、半分以上の人が脳以外のことをやっている。

・材料選びはとても重要。
同じテーマでもどの生物種を使うかによって実験の成否が大きく左右される。

・医学部の人が理学部の人よりもテーマ選びに優れているのは、
常に「通常-異常」「健康-疾病」の差異を意識しているから。

・解剖学の細かい知識を覚える必要はない。
ただ、「これを調べればわかるかもしれない」という引き出しの数を多くしておくこと。
いったんひらめけば後は調べればよい。

・英語力をつけること。
英語で外国人のヒソヒソ話を聞き取れなければいけない。
彼らは重要な話を日本人に大声ですることはない。
外国人どうしの仲間内で小さな声でしゃべっている。

・逆に、自分がきわどい質問をされた時には、それをうまくかわして
相手から重要な情報を聞き出せるだけの英語力が必要。

・理研のミーティングは全て英語。
外国人も22%いる。目標は30%。

・地道にコツコツやれば必ず報われる。


以下、講義内容の一部。

・大脳と小脳の違いは、アウトプットが興奮性か抑制性かの違い。

・小脳は抑制性のため、adultになってから取り除いても問題ない。

・目はCNS。なぜならPNSと違ってオリゴデンドロサイトがニューロンを取り巻いているから。

・滑脳症 Lissencephaly という病気では脳の皺がなくなり、知能障害が起こる。

・母体の抗体は胎盤に守られて胎児まで行かない、というのはウソ。
胎盤の血流を介して胎児まで到達する。

・Yotari mutant mouseを命名するときには、名前に気をつけた。
同和問題の対策委員をやっていたので、呼称一つで首が飛びうることを知っていた。
「よたり」が差別用語ではないことを確認して命名した。

・内分泌もサイトカインも神経によるホルモン分泌も全て同じ機構であることを認識しておくのが重要。

・本質的な分子はどの種でも高度に保存されていることを頭に入れておくこと。
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コメント

抗体

御子柴先生の話は聞いたことがないのですがこのブログを読んで一度聞いてみたいと思いました。
ところで「母体の抗体は胎盤に守られて胎児まで行かない、というのはウソ。胎盤の血流を介して胎児まで到達する」というのが気になります。もしよかったら時間のあるときにもう少し詳しく書いていただけないでしょうか。もしくは論文で発表済みなら教えていただけないでしょうか。別に研究しているわけではないのですが、興味を引かれたので、、、。よろしくお願いします。

胎盤通過性

始めまして。
IgG抗体は胎盤通過性を持つ、と教科書レベルで載ってました。
どういう機構かわかりませんが色々とIgG抗体は特徴があるようです。

>>医学部の人が理学部の人よりもテーマ選びに優れているのは、
常に「通常-異常」「健康-疾病」の差異を意識しているから。

これは確かに一理ありますね。遺伝子でもタンパク質でも最終産物としては疾病につながるわけですから。

自己紹介が遅れましたが僕も某大学で脳科学を専攻している大学院生です。主に細胞生物学ですが。
先日の円形の進化系統樹、大変感動しました。

>tsujiさん

はじめまして。コメントありがとうございます。
胎盤と抗体の話、私も興味を引かれたのですが詳しく聞くことができませんでした。
講義は極めて多岐に渡るテーマを少しずつ紹介する形式でしたので。
また私も調べてみて、まとまればエントリーしようと思います。

>ohtsuさん

抗体に関する情報ありがとうございます。
私は免疫系に弱いので、一度本格的に勉強する必要性を感じています。

テーマ選定に関しては私も悩むことがありますので、今回の話は一つのヒントとなりました。
脳にしても、重要な発見や理論の多くは脳の疾患から導かれていますからね。

円形の系統樹、そう言って頂けるとご紹介した甲斐を感じられて嬉しく思います。
National Geographicではもっと美しかったのですけどね。
形に現れる思想自体が斬新なので気に入りました。

またどこかでお会いするかもしれませんね。
その時はよろしくお願いします。

ぷは~、かゆいところに手が届いた講義で、気持ちがいいですね。
御子柴先生の講義、聞いてみたいです。

>関東と関西でも大きく考え方が違う
これを体験してみたいです。
私は関東ばかりにいますから。

>理研のミーティングは全て英語。 外国人も22%
脳研に行ったとき、「ここは外国?」と思うほど外国人率が高かったです。
聞こえてくるおしゃべりも英語・・・。

>メシダさん

確かに関東の人は関東に留まりがちですが、
東京はそれ自体が様々な人間のハブ地域なのでやはり有利な立場にあると思います。
僕もサークルで学部時代に数十回東京に行きましたが、やはり「人と情報の多様性」で東京は圧倒的に有利だと痛感しました。

脳研に行かれたのですか!
私も夏に行こうと思っています。
見所などあれば是非教えてください。
とりあえず英語を勉強した方が良いということですね(^_^;)

>脳研と英語
私は光るタンパク質の先生のところに用事があって行ったので、普通に日本語でした。

>見所
う~ん・・・建物内はよく覚えていませんが、強いてあげるとすると
内装が豪華、というところでしょうか(^^;)。
建物が単にこぎれいなだけでなく、シンプルなのにいいもの(例えばイスやパーティション)を使ってるなあ、と思いました。
相当なお金持ち、という印象。

>メシダさん

ありがとうございます。
イスやパーティションまで豪華というのは研究所としては異例ですね。
研究所というと壊れかけの建物に最新の機器が詰まっているイメージがあるので。
(うちがそうだからかもしれませんが(^_^;))
またいろいろ教えてください。

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