スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

CD38の下流はCADPS2?

今日のジャーナルクラブ@ラボはCD38とオキシトシンの論文でした。
過去ログ(CD38がないと社会性を失う and レビュー)で紹介したもの。

さすがに先輩は関連論文を読み込んでいる量が違って、今更ながら勉強になりました。
でもこちらも予習していたので、珍しくプレゼンの全貌を把握できました。
逆に言えば、これくらい勉強しないと普段のジャーナルクラブは消化できないのかと思い、内心苦笑。

プレゼンを聞いているうちに、
CD38のノックアウトマウスと、
CADPS2のノックアウトマウスの表現型が非常に似ていることに気づきました。
(正確に言えば、思い出したと言うべきか)
(参照:CADPS2遺伝子と自閉症の関係

どちらのノックアウトマウスも、
・多動性
・femaleマウスの養育放棄
などの共通した症状を見せます。


CADPS2タンパク質の役割の一つは、
dense-core vesicleとPIP2に結合して、
Caイオン依存的にdense-core vesicleのエキソサイトーシスを引き起こすことです。
エキソサイトーシスを触媒しているのはactive zoneでのATP依存的プライミングの時。

CD38は、cADPRの合成を触媒し、それによりER内のCaイオンを引き出すことがわかっていますが、その下流が不明、という状態なわけです。


ヲヲ?

これはもしや、CD38の下流はCADPS2なのデハ?

そうだとすると、CD38のノックアウトではactive zone近くでdense-core vesicleが溜まるのも説明がつきます。
active zoneには行けるけど、Caが足りず、プライミングがうまくいかないからエキソサイトーシスまで進めない。

CD38をノックアウトしても完全にオキシトシン放出がなくなるわけではないことは、CD38以外のCaカスケード and/or 浸透圧などの他の原因でエキソサイトーシスが起きていると考えれば説明がつくわけで。


先輩は「Caカスケードは複雑すぎて、全てフォローするのは無理だった」と仰っていました。
しかし同じCaカスケードでも、その阻害による表現型が似ているのならかなり有力なのではないでしょうか。(このあたりのセンスがないのでわかりませんが)


私の研究分野ではありませんが(関係はありますが)もしこの分野の人間だったらCD38とCADPS2の関係を調べたかったと思います。
CD38とBDNF、ニューロトロフィン、ドーパミン(受容体)、概日リズムの関係とか。

【論文】共感覚者は脳の領域間の神経結合が過剰

共感覚は脳の領域間の過剰な神経ネットワークが原因
Romke Rouw et al,
Increased structural connectivity in grapheme-color synesthesia
Nature Neuroscience 10, 28 May 2007


特定の文字が特定の色に見えたりする"共感覚"の機構がわかってきたようです。

今週のThe Economist にも掲載されています。
相変わらず早い・・・
しかも画像が原論文より綺麗だし。(修正・加工してあるからですが)

【“【論文】共感覚者は脳の領域間の神経結合が過剰”の続きを読む】

【BOOKS】『妻と帽子を間違えた男』:素数計算の怪

妻を帽子とまちがえた男妻を帽子とまちがえた男
オリバー サックス (1992/02)
晶文社



オリバー・サックスの代表作の一つ。

1985年に出版された本ではあるが、その面白さは今でも全く色あせていなかった。

オリバー・サックスが臨床にいた頃は、今よりもずっと精神性の患者に対する差別・隔離・偏見が強かった時代だった。

それにも関わらず、この本からは病院の暗い雰囲気は一切ない。
サックスの、患者に対する愛が伝わってきて、とても読後感が良い。


さすがに当時の技術では脳を見る方法は脳波が主流で、
せいぜいCTといったところなので、神経レベルで興味深い話はない。
(一般の読者を想定して削ったのかもしれない)

それでも、臨床的な症状として興味深い事例が豊富に載っている。
(以下、引用箇所の太字は全て引用者)

例1:幻肢は出したり引っ込めたりできる

幻肢の話は『脳の中の幽霊』に詳しい。
おそらくラマチャンドランが「幻肢痛の治療法」を編み出す前の話だったのだろう、
『妻を帽子と間違えた男』の中に治療法は載っていない。

しかし、『脳の中の幽霊』にも書かれていない話が載っていた。

幻肢は、一度消えていても意図的に「蘇らせる」ことができる!
以下、引用。

「義肢の使用に当たっては、幻影肢の有無は非常に重要である」

「たとえば下肢が義足の場合、安心して歩けるためには、そこにファントムがある必要がある」

「そういうわけだから、ファントムが消えると帰って不幸な場合がある。
そこで、ファントムを呼び戻したり蘇らせることが緊急肝要な課題となる」

その患者は、毎朝ファントムを「起こす」のである。
朝起きるとまず、切断した後残っている大腿基部をはげしくたたく」

「五回か六回たたいたところで、とつぜん幻影肢が、この末梢性刺激によってにゅっと生えてくる

「生える速さときたら電光石化、一瞬のうちである」

(引用終わり)


なんとも驚きである。
「毎朝」ということは、寝ると消えるということか。
毎日使っているのに、毎日消えるというのも不思議。



【“【BOOKS】『妻と帽子を間違えた男』:素数計算の怪”の続きを読む】

CD38とオキシトシンの軽いレビュー

Neuron にCD38とオキシトシンについての軽いレビューが載っていました。
Regulating the Social Brain: A new role for CD38

短く、しかもよくまとまっていて読みやすい記事でした。

「今ではネット上にオキシトシンが大量に売られてますね」
「でもこれは科学的根拠があるんですよ」
などという、大衆を煽るようなジョークもありましたが。
(参考ログ:「他人を信頼させる薬」

過去に何度かCD38とオキシトシンについてはレビューしていますが、
(参考ログ:CD38と社会行動
CD38が分子的に何をしているのかに言及していなかったので、そのメモとして載せておきます。

目次:
1. オキシトシンの合成から放出まで
2. オキシトシン放出の制御
3. オキシトシンの効果
4. CD38はどこにあって、何をしているのか?
5. CD38をノックアウトするとどうなるのか?
6. 未解決問題いろいろ

【“CD38とオキシトシンの軽いレビュー”の続きを読む】

【論文】脳の初期状態のBOLDシグナルはサルにも見られる

サルの無意識状態でのBOLDシグナルはヒトの初期系と同じ振る舞いを見せる
Vincent et al, Intrinsic functional architecture in the anaesthetized monkey brain.
Nature 447,3 May 2007, pp83-

脳のエネルギー消費の大部分は、意識に上らない活動に使われていることに注目した論文。

かなりインパクトがあったらしく、表紙を飾っている上に
nature podcast のテーマにもなっている。

脳は何らかの行動をしたり外界から刺激を受けたりしなくても特定の活動をしていることがわかっている。
BOLDシグナルが、自発的に一定のパターンを示すのがその一例。

ヒトではBOLDシグナルが自発的に変動しており、安静状態でも持続的に生じている。
(安静状態であって無意識状態ではない)

今回著者らは、イソフルランという全身麻酔薬をサルに投与し、
軽い麻酔状態と深い麻酔状態を作り出した。

その結果、麻酔による無意識状態でも、サルはヒトとほとんど同じBOLDシグナル変動パターンを見せた。

この「同じ」変動を見せた領域は、
眼球運動系、体制運動系、視覚系、および初期系(default system)。

特にdefault systemは、ヒトだけに備わった系であると主張されてきたものであるため、
著者らは「この変動パターンは進化的に保存されているものであり、
意識を作り出すシステムの基本となるものと考えられる
」としている。


【“【論文】脳の初期状態のBOLDシグナルはサルにも見られる”の続きを読む】

【論文】前頭前野の損傷は極端な功利主義を生む

「前頭前野の損傷は、功利主義的な倫理判断を助長する」
Damage to the prefrontal cortex increases utilitarian moral judgements
(nature 446, 19 April, 2007)


一月ほど前にオンラインで出版され、
他のブログでも少し話題になっていた論文。

前頭前野prefrontal cortexに損傷のある患者は、
功利主義的な倫理判断をしてしまうようです。

功利主義的な判断とは、たとえば:
「電車が、レール上の5人の人に向かって暴走しています。
他の1人を電車の前に突き飛ばして電車を止めれば5人を救えます。
さて、あなたはこの1人を突き飛ばしますか?」
という問題に対して、Yesと答えること。

前頭前野に損傷があると、このように
「少数を犠牲にして多数を救おう!」と思ってしまう、らしいです。



【“【論文】前頭前野の損傷は極端な功利主義を生む”の続きを読む】

【記事】バクテリアがうつ病を防ぐ

今週の The Economistに、「バクテリアがうつ病を防ぐ」という記事がありました。

Neuroscienceに投稿中、と書いてありました。
実際にNeuroscienceのHPを調べても載っていないので、
アクセプトはされたものの掲載前の状態なのでしょう。

掲載前の論文ネタさえ提供してくれる「一般紙」The Economistは素晴らしい。

その記事を要約すると以下のようになります。

・Bristol大学の Chirs Lorry博士の研究

・もともと、Mary O’Brienという人が、Mycobacterium Vaccaeという
バクテリアとがんの関連を調べようとして見つかった現象。

・O’Brienは、M.Vaccaeをがん患者に接種すると、
症状が軽くなっただけでなく、精神の健康状態も良くなり
活力が出て、認知能力も向上したことを見出した。

・そこでLorryは、仮説として「M.Vaccaeへの免疫抵抗によって
脳内でセロトニンが分泌されているのではないか」
と考えた。

・マウスに M.Vaccaeを接種すると、サイトカインが上昇した。

・サイトカインは背側縫線核dorsal raphe nucleus を刺激することで知られている。

・背側縫線核中には辺縁系につながる細胞群があり、感覚器の刺激を受けてセロトニンを辺縁系に送り出している。

・結果的に、マウスはストレスフリーになった。
M.Vaccaeを接種したマウスはそうでないマウスに比べてプールでの水泳を楽しんでいた。


【“【記事】バクテリアがうつ病を防ぐ”の続きを読む】

脳内LAN

ぎゃふ。
見事に引っかかってしまった

一応、他ソースを調べるためにググったものの
数万件の検索結果が出てきたので安心しちゃいました。
ほとんどが会社名だったようで・・・。


でもそのうち本当にやりかねませんけどね、Googleなら。
松下電機は脳タンパク質の研究をしてましたし
ソニーはテレパシーの研究をしていたことを考えると
もっとファンキーな企業であるGoogleは脳内検索くらいのことは考えても不思議ではありません。

そのうち、脳と脳をネット上でつないで、脳のグリッドコンピューティングとかやりだすかも。
攻殻機動隊ばりに。

あ、でも脳梁を切断する右脳と左脳で独立して意識が生まれることがあるのを考えると、全脳は脳梁を介してLANを作っていると解釈することもできるのかな。

脳梁には二億本の神経軸策があることを考えると
人工的に脳同士をつなぐのは若干難しいかもしれないけど。

逆に言えば、脳同士をつなぐと、ネットワーク全体で新たに統合された意識が生まれる可能性もあるのか。
脳の情報処理のほとんどは意識に上らないことを考えると、脳同士をつなぐと意識下処理がさらに増えることにもなりそう。

Googleによる脳内検索、iBrain

【注:このエントリーは、エイプリルフールのジョークです。あしからず】

Googleが人間の脳内の情報までも検索対象にしはじめました。


少し前に「Googleの開発責任者は脳科学者」という記事を書きましたが、
そこでは「GoogleはWebを脳のように見立てているのかも」などと
書いていました。

あまりに考えが浅かったようです。

Googleは「ホンモノの脳」をも直接検索対象にしはじめました。

iBrainなる計画。(c.f.Syuzoさんのブログより)

Googleがやろうとしていることはまとめると以下のようになります。

iBrain 1.0: ユーザーの脳波でコンピュータを操作できるようにする
iMatrix 1.0:脳波の情報をネットにつなぎ、SNSやゲームを脳波で楽しむ
iBrain 2.0: ユーザーの神経活動を直接観測し、コンピュータにつなぐ。
iMatrix 2.0: 神経活動の情報をネットにつなぎ、Googleが保存。



【“Googleによる脳内検索、iBrain”の続きを読む】

【論文】CASPS2遺伝子と自閉症の関係

CADPS2遺伝子が自閉症の原因の一つかもしれない
Sakata et al, Autistic-like phenotypes in Cadps2-knockout mice and aberrant CADPS2 splicing in autistic patients
JCI March 22, 2007


理研の研究ということもあってmixiニュースでも取り上げられていました。
ニュースとリンクした日記の中には
「やっと原因が解明できたんだね」
とコメントしている人が多く見受けられました。

この論文は全くそのような位置づけではないのですが、
分子生物学や神経科学を学んでいない人としては当然の反応なのかもしれません。
神経科学者も、自分の分野と全く異なる科学分野のことなら勘違いしてしまうかもしれません。

たとえば「ガンマ線バーストのメカニズムを解明」という
ヘッドラインがあったとしても、それが
「仮説の一つ」なのか
「理論は正しいが全貌の解明には至っていない」のか
「最後の一ピースが埋まって、ほぼ完全に説明がつくようになった」のか
私には判断がつきません。


ともあれ、この論文の要約は以下の通り。
【“【論文】CASPS2遺伝子と自閉症の関係”の続きを読む】

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。